【ほんまやばいでTPPその3】 国家戦略特区とTPP 大野和興

 安倍成長戦略である国家戦略特区について補足します。去年の年末に法律ができました。それを見ますと、「世界と闘える」とか「成長の起爆剤になる」とか、「世界で一番ビジネスがしやすい環境を作る」とかが謳い文句です。つまり金儲けがしやすい地域を作りましょうということです。大阪では医療で金儲けしましょうという特区ですが、そのほかにもいろいろあります。

 労働の分野で、「雇用労働相談センター」を特区の中に作りますというのがあります。福岡の計画のなかにあります。今。労働相談では労働委員会があり、基準監督署があり、労政事務所といろいろあります。日本の法律の中では、労働相談は完備している。ではなぜ、新たにこういうものを作るのか。日本に投資した外資が労働問題で悩まなくてすむようにしますというのがこの機関です。労働争議は抑えますよ、労働者の要求を抑えます。という機関がこの「雇用労働相談センター」なのだと思います。
 今、すでに基準監督書とか労基事務所とか、最近、なんか頼りにならないのですが、その上これが出てくるとですね、解雇自由化の布石かもしれません

 実はアメリカに「労働権」という概念があるのをお聞きになった方があると思うんですけれども、州法でこの労働権を定める州が半分くらいになっています。もともとは1950年代につくられた労働運動を弾圧するための法律でした。南部の保守的な地帯に細々と生き残っていたものが最近急激に、アメリカ全土で州の法律として広まっています。「労働権」だから労働者の権利を守ってくれると思うのですが、そうじゃなくて労働者の権利を侵害する、雇用する側の権利なのです。

 ミシガン州というのは自動車産業が拠点ですけれども、数年前に州法に導入されました。アメリカはユニオンショップ制ですから、自動車産業に就職したら自動的に自動車産業の労働組合に入る。産業別の労組です。そして自動車産業の労働者がこれまでの闘いをとおして作ってきた協約の恩恵を受けることができます。労働権が適用になると、自動車産業に就職しても、労働組合に入らなくてよく、また組合費の天引きを会社はやらなくていいといったことが発生する。いまアメリカでは雇用は増えているといわれています。雇用は増えているけれども、賃金は下がっています。また、労働組合の組織率もどんどん下がっているそうです。

 TPPの場合、そこで適用される基準はアメリカが作りますから、TPPが締結されたらこの労働権がアジア太平洋地域の労働者の権利についてのスタンダードになるます。こうした動きと国家戦略特区がつくろうとしている「雇用労働相談センター」を重ね合わせると、こうした風景が見えてきます。