2・21TPPに反対する人々の運動年次寄り合いの記録

「TPPに反対する人々の運動」は2月21日、年次寄り合いを開き、約40名が参加しました。以下はその記録となります。

1)「TPPに反対する人々の運動」はTPP会合に対して2010年10月以来、さまざまな反対運動を重ね、毎年年次寄り合いを開いてきた。今年度は、TPP交渉が2013年末の妥結ができず今年2月の閣僚会合に持ち越された2月21日に開かれ、北海道、山形、新潟からの参加も含め35人の参加があった。

2)世話人の市村忠文さんが司会を務め、まず菅野芳秀共同代表から、「TPP交渉が予断を
許さない中、今日は各地の取り組みを出しあおう」との挨拶があった後、次のように会が進められた。

3)大野和興世話人より、情勢分析、私たちの取り組みについての提起があった。

・米国のTPA法案が議会に上程されたが、与党内の圧力を受けて中間選挙後まで成立しない公算も大きくなった。新興国は米国による知的財産権、国有企業改革などに対して反発が強まっている。そのような中で日米の政治的決着をTPP交渉各国が待っている状況がある。
・各国では昨夏以降TPPの秘密性批判・情報公開を求める声が院内外で広がっている。
・安倍政権の下、日本では国家戦略特区などTPPを先取りする状況や「改憲なき改憲体制」が本格化しようとしている。
・シンガポール閣僚会議をめぐっては、日米主導でかなりの水準まで各国が合意する可能性、逆に合意に失敗しTPPが漂流する可能性もある。しかし4月のオバマ大統領のアジア歴訪を利用しての安倍政権のTPPの先取り政策には注意しなければならない。
・「TPPに反対する人々の運動」としては「短期・中期の取り組み」として、情報公開の要求と衆参の農水委員会の決議を守らせる運動を幅広く進める。
・3月30日に予定されている日比谷野音集会とデモへ準備段階から積極的に参加していこう。その際12.8行動以上に幅広く賛同を募り、各地域・くらし・職場からの幅広い声を集めていく必要がある。
・長期的な視点からはTPPを相対化し、「TPPプラス」「改憲なき改憲体制」を見据えてTPPを単一課題とするのでなく、グローバル化全体の動向に対してくさびを打ち込む必要がある。その際「当たり前に暮らしたい、村でも街でも」と集まった「人々の運動」としての対抗軸を作る必要があり、連続講座などを続けていこう、
4)状況と運動に関する参加者からの発言が続いた。
・「TPP阻止国民会議」の石原事務局次長からは、2月27日にシンガポール報告とパブリックシティズンのブルク・キリクさん(知的財産権の専門家)への学習会を開くとして、参加の訴えがあった。また4月のオバマ訪問への作戦を立てる必要がある、と述べた。
・JVCの加藤真希さんからは、政府に情報公開を求めて運動してきた経緯、2月14日の国会議員と市民団体による共同記者会見の報告、2013年に各地で開いた国際シンポにおいてメキシコの農家がNAFTAの犠牲になった事実が印象的だったとの発言があった。
・パルシステムの若森資朗さんからは、地域の林業、小電力などのエネルギー自給、食べ物など地域の取り組み・連携が「人々の運動」を支えることになる、米国の格差の構造を持ち込むTPPに抗して地域を守る運動を進めたい、との意見が出された。
・日本農業新聞の金 哲洙記者からは、韓米FTAの発効以後、韓国の運動は低下したが、今年4月23日のオバマ韓国訪問に対して国際シンポや大集会を開く動きがあることが紹介された。
・山形置賜の畜産農家菊地富夫さんは、TPPによって大規模のところも、6ヘクタールほどの自分も廃業に追い込まれる、と危機感を述べた。
・福島の米農家中村和夫さんは、福島の農民は今、脱原発運動、東電に対する賠償請求問題に追われており、また自分たちの米も原発の影響から消費者が買ってくれなくなり、売り上げが半減するなどの事態に直面しており、TPPに対しては無力感も感じている、と悩みを訴えた。
4)次に各地域・各団体の報告・提起が続いた。
・北海道農民連盟の山田富士雄委員長は、本土に比べ北海道の耕作放棄率は少ない、今後たとえTPPが妥結しても国会批准反対に力を入れる、と述べた。
・山形平和センターの庄司誠書記長は、13年に国際シンポを地元で開き、ISD条項が国家主権を侵害すること、米国民もTPPに反対する人々がいることが分かった、と報告した。
・山形の置賜交流会の川崎吉己さんは、水が豊富でエネルギーに利用できる森林が多く、食料生産も盛んなこの地域を見直し、農家ばかりでなく町民と一緒に地域作りをしていく、と決意表明した。
・この会の共同代表でもある新潟の農家天明伸浩さんは、13年の地域での国際シンポの成果を述べ、今年の夏も長岡祭りと合わせて地域の運動を広げたいと抱負を述べた。また、TPPでは日本がベトナムなどに攻め込もうとする側面もあることを忘れてはいけない、と国際的な視点を強調した。
・JC総研の丸山茂樹さんは、2013年11月に韓国で開かれたグローバル社会経済フォーラムにおいて採択された「ソウル宣言」を紹介し、反グローバリズム運動を新しい社会づくりへと連動させる必要性を述べ、その際に世界の情報システムに対抗する民衆の情報交換システムの構築が重要だと、強調した。
・米農家の蕨直邦さんは、TPPで畜産農家が減少する中で、政府の米政策の転換で謳われる飼料米の需要はなくなり、現実的な政策ではない。若者にはもっとTPPに関心を持ってもらいたい、と述べた。
・この運動の事務局を担っている上垣喜寛さんは、若者に興味を持ってもらうにはインターネットを利用するばかりでなく映画の上映会などを開くことも有効だ、と強調した。
・千葉大学の学生の吉田紗知子さんはベルリン留学の経験から、都市の農園運動(コミュニティガーデン)などをきっかけに遺伝子組み換え食品やベジタリアンを志す若者を増やすこともできる、と紹介した。
・TPP阻止国民会議の山田正彦さんは、米国ではTPA法も成立するのは難しく、昨年秋以降、国会議員もTPP交渉テキストにアクセスできるようになってからますます反対運動が広っている、ニュージーランド、豪州などでも反対運動は広がっており、これから若い層による運動を盛り上げる必要がある、と述べた。
・世話人の大野和興さんは、これまで労働組合がTPP反対運動を十分に担ってこなかった、春闘では取り組めるように組合に働きかける必要があると、強調した。
・パルシステム関連労組協議会の金靖郎さんは、大資本が自由に活動できる環境をつくるのがTPPだ、国内の労働環境も派遣法改悪などによってより悪くなる、TPP反対のために農民と労働者が繋がる必要がある、と述べた。
・全水道労組の村上さんは、TPPには反対だが、労組としてなかなか取り組めていない、水問題では安全基準が引き下げられたり、外国企業の日本への参入もあり、自分たちの問題として取り組みたい、と述べた。
・APLA共同代表の秋山眞兄さんはネグロス島の砂糖農家支援の経験から、多国籍企業の支配に対抗していかなければならないこと、地域で食料・エネルギーの自給をめざす若者の取り組みが重要だ、と述べた。

5)このように参加者からの熱心な討論が続き、「TPP交渉の情勢が緊迫し、TPPの先取りも進む中で、TPPに対抗する自立経済を各地で打ち立てることの重要性が明らかになった。国際的な反対運動とともに、各地域での運動を広げよう」、と山浦が閉会の挨拶を述べた。参加者の討議はその後の懇親会でも熱心に続いた。

6)当日宿泊をした参加者による翌朝の議論で、以下の提案がされた。
・3月30日の東京での大行動に積極的に取り組む。
・4月23日のオバマ大統領訪韓に対して韓国では4月16日から19日にかけて反対集会が予定されている。日本からも参加を含め連帯の行動をする必要がある。北海道農民連盟での対応が出来ないか調整する。
・地方議会での決議、TPPに反対する地方議員による賛同署名などに取り組むことが出来ないか。
・草案が公表された場合を想定し、翻訳や条文の分析などの対応、国会での対応などが必要である。

*TPP協定の合意に対しては、市民運動の根強い取り組み、国際的連帯の広がり、議員への働きかけなどによって、今のところ合意させない状況を生み出している。しかし討議において指摘されたように、オバマ大統領のアジア歴訪などを通して、一気に政治決着が図られる恐れもある。私たちの運動を今後とも国内外に広げていく必要がある。(記 山浦康明)