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zoom RSS 米国政府の「外国貿易障壁報告書」はTPP論争を激化させる(米国NGOパブリック・シチズンより)

<<   作成日時 : 2014/05/07 19:34   >>

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3月31に日発表されたUSTRの「外国貿易障壁報告書」の中の日本やTPP参加国に向けた批判の一部をパブリック・シチズンのベン・ビーチー氏が批判したものを掲載します。

金融、サービス貿易、投資については、国内の独自制度を海外と適合させることを回避する留保リストを提出することが出来ます。これまで政府の説明会で留保リストについての考え方を繰り返し質問していますが、政府の回答は「日本は内外無差別が基本だから問題ない」との逃げ=独自の公共政策・社会政策を放棄するに等しいものでした。

米国の「外国貿易障壁報告書」は、TPPにおける米国の主張をある意味で公に知り得る文書でもあると考え、紹介するものです。(翻訳:田中久雄/監修:廣内かおり)


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オバマ政権の新しい報告書は、廃止を求める貿易障壁として、日本などTPP交渉国の公益に資する政策を標的にしている

New Obama Administration Report Targets Japan and Other TPP Countries’ Public Interest Policies as Trade Barriers to be Eliminated
──14年4月16日パブリックシチズン

TPP交渉国の保健、金融、個人情報などデリケートな政策を標的とする米国政府の「外国貿易障壁報告書」は、TPP論争を激化させる
U.S. Government ‘National Trade Estimate’ Report Targeting TPP Nations’ Health, Financial, Privacy and Other Sensitive Policies Fuels TPP Controversy

ワシントンDCーバラク・オバマ大統領の重要なアジア歴訪を前に、窮地にある環太平洋経済連携協定(TPP)で最終合意を確保しようという目標は、新たな困難に直面している。米国の貿易担当が、廃止を求める「貿易障壁」としてTPP交渉国の重要な国内政策を執拗に標的にした報告書を発表したからだ。

米国通商代表部(USTR)が公表した2014年外国貿易障壁報告書には、受け入れ不可能と思われる各TPP交渉国の国内政策がこと細かく列挙されている。なぜこの包括的な12ヵ国の交渉には論争が多く、何度も妥結の期限を逃しているか、その理由についてこの報告書は独自の見解を示している。

パブリック・シチズンのグローバル・トレード・ウォチの調査研究責任者、ベン・ビーチは「TPP交渉が密室で行われ条文も秘密であることから、この報告書が米国の標的リストを提供するまで、日本の一般の人は国内政策全般がTPPに狙われていることを知らなかった」と語った。

この報告書で標的とされた日本の政策には、次が含まれる。
• この報告書は、日本の個人情報保護の法律を「不要な負担」と呼んで批判。報告書によれば、米国政府は「日本政府に対し、情報の適切な共有を促進するため、個人情報保護法の条項と適用を再検討するよう要請している。」
• 報告書は、日本の食品表示政策が「すべての原材料と食品添加物の名前や含有率、製造工程の記述の表示を義務づけている」ことを非難している。消費者が自分たちの消費する商品についてこれまで以上の情報を要求する時代にあって、日本の先進的な表示政策は「負担」であり「競争相手に機密情報を公開する危険がある」と不満を表明している。
• 日本の栄養補助食品の規制は、日本における米国企業のビタミン剤やサプリメント販売を妨げる「障壁」と批判。具体的には、日本の消費者に栄養補助食品を販売する場合に「登録されていない食品添加物を使用することが難しい」と批判している。
• 米国の製薬企業が日本の医療機器の値引きの仕組みに懸念を抱いていると指摘。医療機器の値段を決める際に、国内価格が、相応する国の価格を大幅に上回らないようにするため、日本は米国を含むいくつかの先進国の平均価格を採用している。カナダやスイスなど多くの他の国々でも薬価を決め、医療費を抑制するために同様の計算方法を使用している。しかし、USTRは日本の政策には異議を唱え、費用抑制メカニズムが日本でのアメリカ企業の売上を妨げる、と米国の医療産業の懸念をそのまま伝えている。
• URTRは「日本政府が銀行、保険、急送便の市場において、日本郵政株式会社と民間セクターの間で公平な競争の機会が得られるようあらゆる必要な方策をとること」を求めている。米国政府は日本郵政株式会社の新たながん保険サービスを一時停止した、昨年の日本政府の決断を「歓迎」した、と報告書は記している。米国政府は、日本郵政株式会社の新たながん保険へのサービス拡大が、米国の保険会社にとって不公平な競争を生みだすとして、TPPへの日本の参加を承認する条件として、この一時停止を要求していた。日本が米国の一時停止の要求に配慮して3カ月後、日本がTPPに参加したその週に、米国のアフラック社が、日本政府所有の郵便局におけるがん保険の独占的提供者として契約を結んだと公表した。この一時停止が終了して、日本郵政ががん保険や他の新しい保険商品を提供するのを承認する前に、日本政府は「民間セクターの見解に基づく要請と配慮」に対応べきであると、報告書は警告している。この報告書では、日本郵政が保険の提供を控えている間に、日本のがん患者の医療保険への加入がどれほど影響されるか、ということへの見解を求める必要性には言及していない。
• 米国政府はこの報告書で、自らがTPP交渉の中で従いたくなかった一定水準の透明性を日本の郵政改革に要求している。この中で、日本の郵政改革に関係する重要な文書を「タイムリーで正確に開示」することと「会議議題、会議録、その他の関連書類を一般に公開」することを求めている。対照的に、この協定が発効するかまたは交渉が決裂した後から4年間は、TPP文書を機密扱いにすることに米国と他のTPP交渉国が合意しているという情報が漏えいにより暴露されている。
• 報告書によると、米国政府は「日本政府に対し、日本の学校に与えられているものと同じ税制優遇措置を外国の大学にも付与する方法を、外国の大学とも協力して探すよう促している」としている。なぜ日本政府が、日本の学校に提供するのと同じ税額控除や税金による補助金を外国の大学に供与しなければならないのか? USTRはこれに対し、日本がこの要求に応えことは、外国の学校が「日本の教育環境に、優れた貢献を提供し続ける」ために必要であるとしている。
• 「輸入材製品よりも国内の木材製品の利用を促進する」ための日本の木材利用ポイント制度について、この制度の目的が「地域の木材の利用を促進する」ことにあるとしながらも、「米国政府は強い懸念を表明している」と述べている。
• USTRは、日本政府が度々「不透明な」政策諮問会議を利用することについて「メンバーでない人たちは、諮問会議における審議で意見を出す、意味のある機会を公平に提供されていない」と批判。これは、企業代表者によって構成される、透明性のない、排他的な貿易助言制度を持つUSTR自身に対して向けられている批判の鏡写しだ。USTRはさらに、これらの委員会やグループに参加し、直接意見を伝えるために、多くの、意味のある機会が、すべての利害関係者に対して与えられるよう日本政府に強く求めるとしている。これまで、米国の利害関係者は密室で行われている貿易助言制度を開放するため、繰り返し同様の要求をUSTRに送っているが、いまだ「意味のある」変化は見られていない。

384ページに及ぶUSTRの報告書の中で攻撃されている他のTPP交渉国の政策としては、ニュージーランドで支持されている薬価を管理するための国民健康制度、消費者の個人健康情報の海外移転を禁止するオーストラリアの法律、医療機器のコストを削減する日本の価格制度、銀行に十分な資本の保有を求める金融危機後のベトナムの規制、高額な生物学的医療品に対してジェネリック製品を優遇するペルーの政策、独占的特許を得るためには医薬品の実用性を実証しなければならないとしたカナダの特許基準、メキシコの「砂糖飲料税」と「ジャンク・フード税」がある。

さらにオバマ政権は、11の交渉相手国のうち、マレーシアやブルネイのようなイスラム教徒が多数の国を含む7カ国を標的に、酒の輸入または販売を制限していること、いくつかのTPP交渉国がタバコの輸入を制限していること、ベトナムが「様々な有害廃棄物」の輸入を制限していることに異議を唱えている。

「オバマ政権がこの外交的とは言えない他国の国内政策への標的リストを作成する前から、TPPはすでに前途多難だった。多くの国の交渉担当者が、外国の製薬企業に対する特許独占の拡大や、政府に損害賠償させる権限を付与された海外の仲裁機関において、金融、保健、環境の政策が外国投資家の異議申し立てに晒されることに反対している」とビーチ氏は語った。

オバマ政権のこの報告書は、いくつかのTPP交渉国に、オンライン海賊行為防止法(SOPA)の下で提案されたものと類似の著作権保護に対する強制措置を要求しているが、この法案は米国議会で法律化に失敗したものだ。例えばこの報告書では、オバマ政権が「チリに対し、著作権や関連する権利保護の違反行為に対して有効な措置ができるようにインターネットサービスプロバイダーの責任制度の改正を促している」ことに言及している。また、個人情報保護政策を批判し、カナダの規制はあまりにも「制限的」で、日本の個人情報保護法については「不要な負担」であると記述している。

報告書は、銀行を含む主要な国内企業の外国企業による買収に対して政府の詳しい審査が必要、としているTPP交渉中の6カ国の法律を攻撃。またマレーシアとニュージーランドの外国人投資家による土地取得の要件、国境付近の土地を外国人が取得できないとするメキシコの法律を、「投資障壁」として挙げている。

また、いくつかのTPP交渉国が持つ、国内生産者に優先権を与えた米国産品購入政策(バイ・アメリカン政策)に類似する、政府調達規則を批判している。これにはマレーシアのプミプトラ政策(マレー人優遇政策)、ベトナムにおける病院での国内生産の医薬品の優先、日本における主要な公共事業の契約の際の地域企業の優先が含まれている。

さらに、TPP交渉国の広範にわたる腐敗や無能力についても批判。例えば、ペルー政府の3つの連邦機関のうち、2つは責任を遂行するのに必要とされる「公平性」や「専門性」に欠けていると述べている。
(翻訳:田中久雄/監修:廣内かおり)

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