6.11「STOP!日米FTA」院内集会 報告

6月11日(火)、超党派の幅広いネットワ-ク「TPPプラスを許さない!全国共同行動」主催で、参議院議員会館講堂において緊急集会「STOP!日米FTA-わたしたちの暮らしを守ろう-」が行われました。百数十名の参加者を前に、孫崎 亨さん(東アジア共同体研究所・所長)と金子 勝さん(立教大学大学院特任教授・慶応義塾大学経済学部名誉教授)から、日米関係、グローバル化が進む社会経済の枠組みを中心に講演をいただきました。日米両国の首脳は、両国それぞれの民にとって最悪の組み合わせだ」との強い指摘がなされました。その後、植草一秀さん(「オ-ルジャパン平和と共生」運営委員)をコーディネ-ターとし、講演のお2人に安田節子さん(「食政策センタ—ビジョン21」主宰)が加わってのパネルディスカッションが行われました。締めの言葉は「7月参院選で声を上げよう。成功の秘訣は、成功するまで諦めないことだ」

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日米貿易交渉が行われている現在、TPPプラスを許さない!全国共同行動は、6月11日、参議院議員会館において、「STOP!日米FTA―わたしたちの暮らしを守ろう」と題するシンポジウムを開いた。会場参加者は4人の国会議員を含め127人にのぼった。
(1)基調講演では、まず孫崎享(東アジア共同体研究所所長)さんが「日米通商交渉をどうみるか」と題して、現在の日本と米国の政治状況の分析をもとに今年夏以降の日米合意の可能性について述べた。
5月の安倍・トランプ首脳会談のあと、トランプ大統領は農産物の関税引き下げを7月の参議院選挙後に発表すると、述べ、交渉相手から取れるものは取る姿勢だ。安倍首相は要求されたらそれに応じることになろう。米中関係では経済力・技術力をつけてきた中国に政治力で対抗しようとしているトランプ大統領。こうした世界秩序の大きな変化に目をむけることなく米国に追従し続ける安倍政権、それに盲従する官僚、安倍支持を続けるマスコミ、経済界、という構図は、日本国民一般もそれを黙認していることと無関係ではない。米国の核の傘という考え方は米軍基地が中国のミサイルの射程圏内であることを考えてみても現実的ではないことを国民は理解していないのではないか、と。

(2)次に金子勝(立教大学大学院特任教授)さんが、交渉能力のない日本政府が日米貿易交渉において譲歩を重ね、食の安全や農業を危機に陥れる恐れがあることを指摘した。
金子さんはまず、現代が第二次世界大戦前と同じ状況にあり、グローバリズムがさらに危険な状況を生み出した、と指摘し、ポピュリズムの象徴のトランプ大統領がその危機の象徴である、と述べた。今後関税引き上げ、ドル切り下げがさらに進むと貿易も縮小していく。また情報通信をどの国がにぎるかなど新たな状況も生まれており、産業転換の時代ともいえる。そして日本は旧産業を重視し続けており、トランプ・安倍の最悪のコンビを組む日本政府も米国に組み込まれ続ける。その結果、今後、農業をはじめ日本の産業の崩壊も心配される、此れからは拠点に集中するのではなく、分散型の持続可能なネットワークを構築する必要がある、と提案した。

(3)後半はパネルディスカッションに移り、コーディネーターとして植草一秀さん(政治経済学者、「オールジャパン平和と共生」運営委員)、安田節子さん(「食政策センタービジョン21」主宰)も加わり、孫崎さん、金子さんの4人で、「現状の確認」、「今後の日米関係」、「今私たちはなにをすべきか」を柱に、活発な意見交換が行われた。

①「現状認識」では、安田さんが、「日本はGATTウルグアイラウンド交渉以来、交渉で譲歩を重ねてきており、またそれは国内での規制緩和となっている。現在の日米交渉で日本は崖っぷちに立つことになる。トランプ米国大統領はTPP以上の譲歩を日本に求めており、一方日本政府はこれまで聖域とされた重要5品目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物)の輸入拡大とともにGMO、食品添加物、農薬などにおける安全性にかかる規制緩和を行ってきた。予防原則も執られず、安全基準が緩められているため日本の将来の子孫にとって脅威となる」、と訴えた。金子さんは「農産物の自由化に対して日本農業の規模拡大をもって対処すればよいとする誤ったドグマがあふれている」と指摘した。
植草さんは、「こうした外交姿勢の根底には、官僚の人事権を内閣府がにぎるようになり、規制改革推進会議が省庁を飛び越えて安倍首相にそんたくする状況が生まれている」と日本の政治状況を説明した。また、孫崎さんは「内閣府などの情報機関が力を発揮し、検察と裁判所の相互交流などにより、政府を批判する人々の声が政策に反映されなくなっている」、と指摘した。

②「日米交渉」をめぐっては、日本製自動車について、孫崎さんは「トヨタが米国に工場を作っても、トランプ大統領はそれでは満足せず、米国自動車産業の復活を重視して、日本車の輸入規制をする恐れもある」、と指摘した。また、金子さんは、「日本車の米国での輸入拡大を規制するため米国は為替条項を持ち出すこともある。トランプ大統領の要求は2020年11月の大統領選挙まで続くのではないか」と予測した。交渉において明確に米国に反論できない安倍内閣の問題性、トランプリスクが続くと今後の予測は不可能となる、との意見も出た。

③「今私たちは何をなすべきか」をめぐっては、植草さんが「問題の多いこの状況を打開するためには、日本によい政府を樹立する必要がある」、と述べ、3人の論者がそれを次のように続けた。金子さんは「規模拡大のドグマをつぶすべく、規模拡大の農業にあってはGMの利用、農薬の多用などの問題点があることを人々に訴える必要がある。現にフランスでは小規模農業への転換をする動きがあるように、農業の生産性という価値観を見直し子供の健康維持など安全基準を高める方法を訴えよう」と述べた。孫崎さんも「欧州でのグリーンパーティの台頭が極右勢力を抑えることができる。米国でもグリーンニューディールの動きがみられる。日本の7月の参議院選挙で、安倍内閣を追い詰める必要がある」と述べた。
安田さんは、「日本での農薬使用量は多く、いのちが侵されている。未だ全耕地面積の0.5%でしかない有機農業を拡大し、日本は有機農業立国をめざすべきだ。そのためにはまず、食品の農薬使用を表示させよう。フランスでは農薬使用を表示する法案が上院に提出されている。」と述べた。
パネリストたちからはその他多くの論点が提起され、マスコミがしっかりと報道していないことも批判の対象となった。
*最後に植草さんが、「『いのち、環境、健康』をベースにするよう社会の転換をはかっていこう。そのためにはまだ広く知られていない情報を広げていこう。7月の参議院選挙で声を上げよう。成功の秘訣は成功するまであきらめないことだ」、とまとめ、参加者を元気づけた。(記 山浦康明)