【報告】第12回TPPプラス交渉をただす!院内集会 報告「食の安全」

山浦康明
当方が出した質問について政府
から次のような回答があり、質疑応答があった。
*政府側からは小島三奈(厚労省 医薬・生活衛生局輸入食品安全対策室)、中矢雄太(厚労省 医薬・生活衛生局食品基準審査課長補佐)、近藤卓也(厚労省 医薬・生活衛生局新開発食品保健対策室長)、黒坂仁(消費者庁食品表示企画課課長補佐)各氏が回答した。

(1)米国産牛肉の輸入条件緩和について
30か月齢という条件をさらに緩和して、月齢条件を撤廃することを求めた米国の要求(USTRの外国障壁報告書19年3月)に対して、日本政府はその意向に沿う方針なのか?と質したのに対し、厚労省は「食品安全委員会の安全性評価が行われたからだ」と、回答した。また「19年2月には米国での調査も行っている」、と説明した。
これに対して、当方から、「米国のBSE対策は飼料規制など不十分であることはOIE(国際獣疫事務局)の専門家会合でも指摘されており、また非定型ではあるが未だにBSEも発生している。米国での日本政府の調査といっても抜き打ち調査ではなく米国政府と食肉生産会社の調査資料を見てきただけであり、米国のBSE対策の実態を解明したものではない。政治的に結論ありきで消費者にリスクを押し付けるべきではない」と批判した。

(2)食品添加物の承認拡大について
米国は赤色着色料「カルミン」を日本が早く承認するように要求している(上記USTRの報告書)が、WHO/FAO合同添加物専門家会議(JECFA)でもアレルギーを発症する事例が指摘されている。これをどう考えるか、と質した。
厚労省は「食品添加物の評価は科学的に国際基準に基づいて行っている。2016年食品安全委員会での評価は中断しており、ただちに承認するものではない、」と回答した。

(3)ポストハーベスト農薬の承認促進について
米国は、殺菌剤を農薬としてまた食品添加物として二度安全性評価している日本に対して、1度で評価して承認を促進するよう、上記USTR19年3月報告書で日本に求めている。
厚労省は、「ポストハーベスト農薬は現在も農薬と食品添加物という二重の安全性評価が行われており、米国の要求を直ちに受け入れることはない、」と回答した。
しかし、かつて殺菌剤フルジオキソニルを柑橘類などのポストハーベスト農薬として承認したさい、大幅な使用基準の緩和があったように、今後米国の要求に対して唯々諾々と承認することが懸念される。

(4)遺伝子組み換え食品の安全性評価について
USTRは2019年3月公表の「貿易政策協議事項の対日通商交渉の目的」で「農産品貿易」に関して次の要求してきた。すなわち「日本が遺伝子組み換え(GM)食品や添加物などを規制する際には透明性を確保して行うこと、日本で未承認のGMが米国の産品に微量混入していた場合、米国へすぐに積み戻すことをせず日米間で協議すること」、である。これは日本の独自の規制を阻害するものではないのか、と質した。
厚労省は「食品の規制については食品安全委員会及び厚労省の審議会答申に基づいて厚労省が日本として行っており、食品安全委員会の評価は科学的見地から行っている。違法なGMが輸入時に発見された際には規制している」と回答した。
しかし、これまでにも違法だった添加物「フェロシアン化カリウム」「フェロシアン化カルシウム」「フェロシアン化Na」が食塩として加工食品に使われていたことがわかるとその後ただちに安全性評価を行い合法化するなど、政治的判断がみられた。とりわけ未承認GMの微量混入事例が起きると日本政府は政治的にただちに合法化する懸念がある。安全性審査での「透明性の確保」という言い方で米国などGM企業の見解が少なからず影響を及ぼすことも懸念される。

(5)貿易の技術的障害(TBT)の項における食品表示ルールについて
USTRの19年3月の上記貿易政策協議事項において米国は米国企業が日本の規制作成に関与する機会を与えることを含め「透明性の確保」を要求しているが、これは食品表示制度の在り方に事業者が自ら関与できることを意図しているのではないか、と質した。
厚労省、消費者庁は「表示ルールの作成過程は公表されており、消費者からも意見を伝えることができる。ゲノム編集食品については事業者の届け出が必要とのルールを作りパブリックコメントも行なう」、と建前論を述べるにとどまった。
現実にはGM表示において、「非GM」との任意表示も不可能にするルールが審議会で決められたり、ゲノム編集食品の安全性評価が不要とされ、また事業者は任意の届け出で済むなど、米国が望むルールが実現されようとしている。日本政府は日米交渉の結論をまたずに規制緩和を行うなど米国の要求を忖度して、事業者に有利なルールを作り、消費者の選択権を奪おうとしている。