「TPPプラスを許さない!全国共同行動」資料5_医療・医薬品

医療・医薬品に関する質疑事項資料                                                     
公益財団法人日本医療総合研究所 寺尾

(1)国内法や薬価制度・公的医療保険制度の運用面において、医薬品の保険適用及び償還価格(薬価)を決定する根拠・プロセスが、製薬企業にとって「透明性のある手続き」になり、利害関係者である米国製薬企業の意見に基づいて、米国製品に十分な市場アクセスを提供するような法制度の運用が行われるのではないか。

[理由]
①日米共同声明(2018年9月26日)
「3. 米国と日本は、必要な国内手続が完了した後、早期に成果が生じる可能性のある物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する」

②日米貿易協定交渉 具体的交渉項目の概要(2018年12月、アメリカ通商代表部)
    「医薬品・医療機器の公正な手続き」
     (特に関係する日本の措置において)政府監督の償還制度が透明で、公正な手続きで行われ、
米国製品に十分な市場アクセスを提供するような基準を追求する。

③2018年 アメリカ通商代表部 外国貿易障壁報告書 (日本関連部分概要)
      

④米国研究製薬工業協会
特許期間中の薬価を維持する仕組みを求めているところ、ほとんどの「新薬創出等加算」の対象品の薬価が下がる仕組みは、到底容認できない
注)「新薬創出等加算」; 新薬の実勢価格が値下がりしていなければ、画期的新薬とみなして、
高価格を維持する仕組み

⑤ TPP12合意事項
「附属書26―A 医薬品及び医療機器に関する透明性及び手続の公正な実施」
第1条 保健医療制度とは、保健医療当局が償還のための医薬品・医療機器の一覧への掲載、当該償還の額の設定に関する設定に関する決定・勧告を行う保健医療制度をいう
     付録  保健医療当局とは、日本国については、償還のための新しい医薬品の一覧への掲載、当該償還の額の設定に関する勧告を行う役割についての中央社会保険医療協議会 
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「医薬品及び医療機器に関する透明性及び手続きの公正な実施に関する附属書の適用に関す
る日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡」
「附属書26-A第5条(協議)に規定する協議制度の枠組みの下で、附属書に関するあらゆる事項(関連する将来の保健医療制度を含む。)について協議する用意があることを確認する」
注)5条-2「協議には、国の保健医療制度に責任を負う各締結国の職員が関与する」

⑥アメリカ通商代表部「2016年 外国貿易障壁報告書」に対する日本政府のコメント
「TPP協定に関連して作成された文書(いわゆる『サイドレター』)に従って着実に実施していく考え」である。


(2)国内法や薬価制度・公的医療保険制度の運用面において、医薬品の償還価格(薬価)の算定根拠・プロセスが、製薬企業にとって「透明性のある手続き」になり、製薬企業からの申請価格に基づいて、薬価を決定するプロセスに変更するのではないか。

[理由]
①新薬の薬価算定案を検討・策定する厚労省「薬価算定組織」の審議は非公開の上、委員長以外の薬価算定組織のメンバーは非公表で、議事録も作成されておらず、算定薬価を決める中央社会保険医療協議会には審議概要の結果が示されるにすぎない。
新薬の価値評価の根拠が曖昧のまま、様々な補正加算が折り込まれるため、厚労省や製薬企業の裁量的判断が介在する余地が大きく、算定薬価の根拠や妥当性について検証をすることが困難である。
⇒薬価の算定根拠・プロセスについて、「透明性のある手続き」を担保するには、少なくとも薬価算定組織での審議内容や資料の原則開示・公表を実施することが不可欠である。

②ファイザー等が会員である日本製薬工業協会は、薬価算定組織での審議内容や資料を原則開示・公表するという「透明性」ではなく、製薬企業の価格案が十分に評価される「透明性」を求めている。
   
(日本製薬工業協会「中長期的な提案(第一報)」2018年11月22日)

・現行制度  厚生労働省が薬価の案を作成し、薬価算定組織で薬価案の妥当性を検証する。
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・新方式   製薬企業が申請した価格をもとに、製薬企業と薬価算定組織が直接協議する。
        
「新薬の価値を反映する薬価制度-申請価格協議方式の提案―」製薬協 医療産業政策研究所リサーチペーパーNo.28、2005年7月



(3)生物製剤・新薬データの保護期間とされる8年の再審査期間の運用を見直し、12年の再審査期間に変更するのではないか。

[理由]
①米国研究製薬工業協会(「日米貿易協定交渉に関する公聴会」2018年12月10日)
生物製剤・新薬データの保護期間は12年を確保するよう求める。

②TPP12の合意事項
第18.51条 生物製剤(生物製剤データ保護)] (注)生物製剤=バイオ医薬品
    「最初の販売承認の日から少なくとも8年間」又は「その他の手段等による同等の保護を行う」ことのいずれかを選ぶことを規定している。
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[政府の説明]
日本国内で製造販売承認を受けた新薬データの保護期間の設定は、EUやアメリカの製薬企業に限らず国内制度が適用され、8年の再審査期間となる。
注)再審査期間は法律で定められたものではない。


参考 トランプ大統領の演説

(【ワシントン共同】毎日新聞、2018年5月12日)
「トランプ氏は『外国政府が米製薬会社から不当な安値で薬をだまし取っているので、新薬の研究開発にかかる膨大な費用に対する補助金の多くを米国民が支払わなければならない』と強調。『国際的なただ乗りを終わらせる。もはや外国にだまされない』と訴えた」

「ライトハザード氏は『米国の医薬品が世界中で公正な価格になるよう、全ての手段を用いる』との声明を発表した」