「TPPプラスを許さない!全国共同行動」資料4_食の安全

食の安全に関する質疑事項資料
 TPPに反対する人々の運動 山浦

日本政府は近年食の安全に関し、慎重に消費者の安全を確保する姿勢が後退し、米国からの要請を含め、内外の食品事業者に有利な政策を執るようになったと思わざるを得ません。以下の点につき、日米貿易交渉及び日本国内の食品安全行政について質します。

1.米国通商代表部(USTR)の「外国貿易障壁報告書」(19年3月29日)による食の安全に関する要求に関して

(1)米国通商代表部(USTR)は、米国の牛肉及びその製品の月齢条件を撤廃するよう要求している。これに対して厚生労働省の有識者会議で月齢条件を撤廃することを決定したが、米国の意向にそった方針ではないのか。
米国通商代表部(USTR)は、米国の牛肉及びその製品ではこれまでに日本は月齢30か月以下まで条件を緩和したが、月齢条件そのものを撤廃するよう要求しています。
これに対して政府は米国産牛肉の輸入の際の月齢(30か月齢)基準の撤廃について、2019年4月1日、米国、カナダ、アイルランドからのものについて月齢を撤廃することを厚生労働省の有識者会議で決定しました。これはまさに米国の意向にそった方針ではないのでしょうか?

(2)USTRは食品添加物では着色料のカルミン(コチニール色素)を日本政府が許可するよう要求している。この色素はアレルギーを発症する事例が報告され、安全性に疑問があるが、日本政府は使用を承認することはないのか。
USTRは食品添加物では着色料のカルミン(コチニール色素)を早く日本政府が許可するよう要求しています。この色素は、ハム・ソーセージ、アイスクリーム、酒類など多くの食品に使われていますが、アレルギーを発症する事例が報告されています。2000年にはFAO/WHO合同添加物専門家会議(JECFA)でもアレルギー誘発性が評価されています。米国政府は米国産の食品に使われているため、日本で早く使用を認めるように要求しているのです。多くの消費者団体は、安全性に疑問があるこの着色料カルミンは使用すべきではない、と考えていますが、日本政府は今後拙速に使用を承認することはないでしょうか?

(3)USTRは殺菌剤について、日本が収穫前には農薬とし、収穫後はポストハーベスト農薬として食品添加物に分類していることに対し、殺菌剤として一括して使用を認めるよう求めている。2018年には日本政府も初めて一括して最初の殺菌剤を認可したが、米国の事業者に有利なこの殺菌剤の承認方法を撤回する意向はないか。
USTRは殺菌剤について、日本が収穫前には農薬とし、収穫後はポストハーベスト農薬として食品添加物に分類していることに不満を述べています。日本の農家にとってはポストハーベスト農薬を使用することはなく、農家もこの殺菌剤を意識することはありませんが、米国が日本へ輸出する産品には使用されており、2度の安全性評価をせず殺菌剤として一括してその使用を認めるべきだというのです。2018年には日本政府も初めて一括して最初の殺菌剤を認可しました。米国はこれを促進するよう要求しています。しかし、かつて農薬「フルジオキソニル」の基準が大幅に緩和されたように、これは安全性をないがしろにする恐れがあります。米国の事業者に有利なこの殺菌剤の承認方法を撤回すべきだと考えますが、その意向はありますか?

2.USTRの2019年3月貿易政策協議事項(Trade Policy Agenda)による対日通商交渉の目的での「農産品貿易」に関する要求に関して

(1)USTRの「対日通商交渉の目的」で、「日本が遺伝子組み換え(GM)食品や添加物などを規制する際には透明性を確保して行うこと」としているが、米国の企業の意見を安全性評価に反映させるものではないではないか。また、「輸入されたGMが低レベルで検出された際の規制方法をルール化すること」は、日本で承認されていないGMが微量に混入していた場合に、米国へすぐに積み戻すことをせず、日米間で協議するルールを作ろうとするもので、日本の独自の規制を阻害するものではないか。

「輸入されたGMが低レベルで検出された際の規制方法をルール化すること。」←これは日本で承認されていないGMが微量に混入していた場合、米国へすぐに積み戻すことをせず、日米間で協議するルールを作ろうとするものであり、日本の独自の慎重な規制を阻害するのではないでしょうか?

(2)貿易の技術的障害(TBT)で、米国企業が日本の規制作成に関与する機会を与えることを含め透明性の確保を要求しているが、これは食品表示制度の在り方に事業者が自ら有利になるよう関与できるものではないのか。

貿易の技術的障害(TBT)措置の項で米国企業が日本の規制作成に関与する機会を与えることを含め透明性の確保を要求しています。
・任意規定、適合性評価手続き、透明性などに用いられる、WTOのTBT委員会が出した決定や勧告を適用することを求めています。
・任意規定、強制規格、適合性評価手続き、を決める際の透明性ある手続き、パブリックヒアリングの確保のために、それらの草稿段階で関係各国の利害関係者の声を聴き、最終的にどのような手続きでそれらが決定されたのかを明らかにすること。
・国際的な適合性評価手続きを活用し、また相互認証も利用すること。
・良き規制慣行(Good Regulatory Practice)を尊重すること。
などを挙げています。
←米国のこれらの要望は食品表示制度の在り方に事業者が自ら有利になるように注文できるようになるのではないでしょうか?

これに関して日本政府の規制緩和の先取りもすでに始まっています。
・遺伝子組み換え(GM)表示ルールの後退も始まります。消費者庁は消費者委員会の答申を2019年4月12日に受け、GM作物を使った食品の原材料表示の新たなルールをまとめます。←欧州より緩いGM表示ルールを厳格化すべきと多くの消費者団体が要請していたにもかかわらず、全食品でのGM表示義務化は実現しませんでした。逆に生協などが努力して「遺伝子組み換えでない」と表示してきた任意表示も、その混入率を5%まで容認してきたことを今後禁止し、「不検出」のものに限るとする食品表示基準とします。これは「GMではない」という表示をやめさせたい米国の要求に応えるものではないでしょうか?