連続講座4回 日本から「ソウル宣言」に応えて―新たな協同の発見 講師:丸山茂樹

TPPに反対する人びとの運動・連続講座 「すでに始まっているTPP!その実態を撃つ」(第4回)
日本から「ソウル宣言」に応えて―新たな協同の発見
講師:丸山茂樹(参加型システム研究所客員研究員)

<概要>
 グローバル経済は地域と暮らしを壊していく。それに対抗していくためには地域と暮らしを守り発展させる経済
:社会的経済をつくろうとする人びとがグローバルにつながって連帯して運動していかなければならない。その方向性を指し示したのが’13年の「ソウル宣言」を発した「グローバル社会的経済フォーラム」に続く’14年11月の
「GSEF設立総会&シンポジウム」であった。ソウル宣言の会の44人を率いて参加された丸山茂樹さんにその意義と日本での実践についてお話しいただいた。(GSEF:グローバル社会的経済協議体)

<話のポイント>
1、グローバルな社会的経済の連帯組織が誕生!←ソウル市が政策の実行の方法と体制をつくっている
2、日本の社会運動は、ソウル市の動きに学んで沖縄や置賜に見られる新たな潮流をしっかりつくろう
3、その際にソウル市の動きをつくり出しているパクウォンスン市長とチョウキヒョン教育監のリーダーシップを
 学びたい

<要約>
1、グローバルな社会的経済の連帯組織が誕生―しっかりした事務局と財政基盤ができた
 ‘13年の「ソウル宣言」の意味は、世界的な原因には世界的に対応しなければならないということを明確にしたこと。社会的経済をつくり強化するためにはグローバルな推進連帯組織をつくる、それが今回の大会だ。社会的経済を進めるためには、草の根の参加民主主義と地域社会という基盤が必要で,「ソウル宣言」の10項目は自治体の政策を要として社会的経済の具体的な推進策を明示している。
 今回の大会は、社会的経済推進の世界的な組織・情報(事務局そして運営委員会)を確立し、国際組織として登記した。今までの運動と今回採択された「GSEF憲章」との違いは、自治体と社会的経済体が連携して地域のピンチを克服するプログラムをつくっていこうということだ。ソウル市は「ソウル特別市社会的経済基本条例」を制定して、その政策に根拠を与えるとともに、大規模な「社会的経済センター」をつくって具体的に市民・企業の活動を後押ししている。

2、ソウルに学び沖縄・置賜に学び、16年モントリオール、18年バスク大会に続く2020年山形大会を実現しよう
 これまでの日本の社会運動は、狭い党派的根性や内ゲバなどで大衆的に広がる可能性を自ら閉ざしてきた。韓国でも同様だったが、新政治民主連合の中から出てきたパクウォンスンとチョウキヒョンの盟友関係が新たな大同団結の潮流をつくりだし、実のある政策を実行し始めている。例えば、TPPやFTAの「ISD条項」を憲法違反とする意見書を政府に提出したり、地産地消を条例化してさらに国際協定化しようとするなどのチャレンジである。
 日本でも沖縄の知事選、衆院選での旧来の保革の枠組みを超えた反基地の流れの勝利や2市5町の首長から自民党から共産党まで巻き込んだ置賜自給圏構想、さらには池田町、安曇野など実のある実践例が生まれ始めている。ここから学んで、日本でも新たな発想の大同団結の潮流をつくろう。そしてGSEFの大会を2020年山形で開こうではないか。

<質疑・討論>
・韓国の動きの背景としては、戦後の経済は財閥が牛耳り、IMF危機以降は外資が牛耳ってきて深刻な格差社会になっていたことがある。そこからパクウォンスンの脱新自由主義の経済政策が生まれた。日本も今、格差と不平等が深刻化しつつあり、その中でこれまでの生協運動に対する反省も出てきている。これまでは大資本の流通や「規模と効率」の概念に重きを置きすぎた。そこを反省し地域経済に基盤を置かなければならない。キューバに行ったとき感じたことは、あまり知られていないが日本にも社会的経済はたくさんあるということだ。それを表に出し、つないでいく必要がある。

・経験の交流が必要だ。
・社会的経済の具体的支援策として、①経験の見える化・共有化、②教育と人材育成、交流、③えげつない金融資本や多国籍企業の動きの規制が必要で、これらをやるためのみんなが連帯できるプラットホームをつくろう!
・ソウル市の条例の中に「共同体の利益の実現」という言葉があった。個と共同体の関係はどのように理解されているのか?→グローバル経済にもかかわらずなぜ生きているのか、解体してきつつはあるが「町会」などの共同体があるからだ。そこは韓国、日本共通だろう。

・憲章の理解だが、自治体は社会的経済の主体ではないととらえていいのか?→自治体は正会員になれる。主体である。

・今回の韓国訪問は、GSEF大会だけではなく、その前後に、ソウルのソンミサンマウルやウォンジュなどの協同組合をベースにしたコミュニティづくりを見学してきた。これらは、いったん解体された人間が結びついて新しい協同をつくっていく試みだ。日本でもそうした実践が求められている。
・私たちが主体的に何をやるかを議論したい!