リレートーク「いま言いたい!TPP交渉」に約100名が参加!

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TPP交渉はできるだけ早期の「大筋合意」をめざして、各級交渉会合が展開され、中国で開催されるAPECに平行して閣僚会議も開かれる。米国議会の中間選挙で野党・共和党が上下両院で圧勝したこの時期に約100名の参加者を得て上記院内集会が開かれた。
主催は「リレートーク いま言いたい!TPP交渉」実行委員会で、その共同代表には「TPP交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の醍醐聡、「TPPに反対する弁護士ネットワーク」の中野和子、「主婦連合会」の山根香織の3名が名を連ねた。

1)まず、本実行委員会共同代表の醍醐聡さんより開会あいさつがあり、各国の規制を「非関税障壁だ」として撤廃しようとするのがTPPの本質であること、日本も高齢化時代の老後破産に象徴される貧困化の状態はTPPによって拍車がかかる、と危機感を訴えた。11月8日を中心に反TPP国際共同行動も行われており、その一環として今日はTPP阻止のために闘おうとの行動提起があった。国会議員も駆けつけ、グローバル化の問題点を指摘した。共産党の紙智子議員は日豪EPAが11月6日に参議院の外交防衛委員会と農林水産委員会の合同審議の後、外交防衛委員会で採択され(その後参議院本会議で採択の後、国会で批准した)、豪州産牛肉の関税が早くも2015年4月から10%も引き下げられ、国内の牛肉価格が下落する恐れがあること、関税はTPPの関税率に合わせて引き下げられる条項もあることを批判した。
 共産党の田村智子議員は、TPP交渉の中で医療面において医薬品メーカーの意向をうけ規制緩和され、健康保険制度が保険会社の意向を受けて改悪されようとしている、と訴えた。
 同じく共産党の吉良よし子議員は、安倍政権は地方再生を掲げているが、TPPは本来あるべき地方再生を破壊するものでしかない、と批判した。
 民主党議員で「TPPを慎重に考える会」の篠原孝会長は、韓国でも韓米FTAに盛り込まれたISD条項は主権の侵害だ、との批判が多く出ている。先進国間の日豪EPAにはないが、日本は新興国とのEPAには盛り込み、現地の暴動による進出企業の利益を図るためなどとしている。しかしISD条項は、日本国憲法76条の司法権を侵害し各国においても主権を侵害するものであると、TPPに盛り込むことは問題だとした。同日参議院本会議があり、参加予定の、社民党の吉田党首、民主党徳永議員、民主党郡議員、生活の党畑こうじ議員は参加できなかったが、それぞれの秘書の方々も本集会に参加した。

2)次に、各界代表からのリレートークに移った。
全国農協青年組織協議会からは、TPPで地方は衰退し、疲弊してしまう。政府はTPP交渉においては不退転の決意で臨んでほしい、とのメッセージが届けられた。
 全国保険医団体連合会の住江会長は、TPP交渉では事前交渉を含め、新薬の薬価を市場価格で高く設定すること、SPS協定分野でも新薬の危険性に対して予防原則による事前規制を認めないル―ルがまかり通ること、知的財産権分野では、また特許の範囲を薬だけでなく診断方法や手術方法にまで拡大すること、すでに日本で実施され始めた混合診療によって事業者が儲ける仕組みが作られており、今後国民の健康・生命を米国に引き渡すことになる、特許の保護期間に関して日本政府は昨年の態度を変えて米国とともに特許保護期間の延長を主張している、と批判した。
 千葉県農民連の大木会長は、農家は安全・安心な米作りを続けてきたが今年の米価暴落はTPPの先取りであること、米価安定のための「ナラシ対策」は農家が参加しておらず、現実的ではないこと、農協は米代金の概算金を農家に払うだけで、追加金の支払いは全く期待できず、農家は販売しても生産コストをまかなえない。このままでは後継者もおらず耕作放棄地は増え地域は疲弊する一方だと、現状を訴えた。
 建設政策研究所の村松専務理事は、国内企業は海外への進出傾向が高まり、地域社会や労働者にとってもその悪影響が出ている。その状況に加えて、TPPは公共調達の開放を促そうとしており、自治体の公契約条例への介入、PFIへの米国企業の参入、入札において資材の品質基準を相互承認できるなど基準の緩和を行おうとしているなど、国内建設業への影響は大きい、と危惧した。
 郵政産業労働者ユニオンの須藤書記長は、米国USTRの外国貿易障壁報告書などで以前より郵政民営化への攻撃が続いてきたが、すでに保険・貯金の新商品の販売は禁止され、米国アフラック保険は日本へ進出している。今や、郵便貯金、簡保生命の約300兆円の資産が米国企業によって狙われている。労働分野においては労働者派遣法の改悪、労働法の改悪によって「限定正社員」の導入、成果主義の給与制度などが強引に行われようとしており、これらはTPPの先取りといえる、と訴えた。
 主婦連合会の河村事務局長は、消費者団体として一貫してTPPに反対してきたが、それは、競争市場ルールによって不公平な貿易ルールが押しつけられ関税が撤廃され、暮らしの安全が損なわれるからだ。またTPPの秘密交渉も大問題だ。これは日本の消費者にとってもメリットはなく、今後も国際連帯行動を伴う反対運動を展開したい、と決意を述べた。
 大学教員の会の大西慶大教授は、TPPをめぐる利害対立は日米などの国益ばかりでなく、日本国内における自動車など輸出を拡大している産業と農業、保険、医療などとの対立がその背後に存在することをみなければならない。また日本の輸出産業はアベノミクスが進める円安によって利益を得ていることを忘れてはならない、と分析した。
 星野全農協労連書記は、共済研究会として、共済制度に対してTPPからの攻撃が激しくなっている。国内法的にも適用除外とされる農協共済などとは異なり、とりわけPTA共済や障害者共済などの助け合い、相互扶助の理念が強い制度は、無認可保険だなどとの攻撃がしかけられ民間保険への誘導が進められている。TPPは助け合い精神を破壊するものだ、と訴えた。
 弁護士ネットワークの和田弁護士は、米国からは司法制度への攻撃がすでにかけられてきたが、中間選挙で圧勝した共和党の主張はレームダック化したオバマ政権に日本への強い攻撃となって現れてくるだろう。これに対して弁護士ネットとして反対を続けていく。国民の貧困化をいっそう進めるTPP交渉の差し止めを求めて、個人の取り組みにおいても、「違憲訴訟」も進める、と述べた。

3)会場との意見交換では、TPPのメリット・デメリットをめぐって、TPPの先取りである国家戦略特区制度、ISD条項批判、11月8日を中心とした国際反TPPデイの状況、などが討議された。

4)最後に本実行委員会の事務局の坂口さんより、今日の議論でTPPの内容として人々にはメリットがないこと、手続きとしても交渉の秘密主義が問題であることが明らかになった。これまでTPP交渉を合意させなかったのは、人々の協働の成果でもある。まず年内の妥結を阻止しよう、との閉会挨拶があり集会を締めくくった。
(記 山浦康明)