【イベント報告】雇用・労働ル-ルの改悪とTPP 北健一さんから提起(第3回連続講座)

「TPPに反対する人々の運動」では、昨年後半、地域の現場で何が起きているのか、地域で活動されている方からの報告を中心に連続講座を開催しました。今年は、TPPが着地を目指して交渉を進めている一方、政府が“TPPプラス”とも言える政策を矢継ぎ早に進めている中で、関連する法改正、規制緩和の動きを中心にまず4月からの連続講座を計画することとしました。そして、4月には国家戦略特区についての講座を実施しました。そして政府が6月までにとりまとめることとしている成長戦略の3本柱である、骨太の方針(経済財政諮問会議:法人税減税))、日本再興戦略(産業競争力会議:労働)、規制改革実施計画(規制改革会議:農業・医療)の中から暮らしや労働に直接影響する農業、労働、医療を取り上げることとしました。

今回は6月11日の「雇用・労働ル-ルの改悪とTPP」と題したジャーナリストの北 健一氏による報告を紹介します。当初予定されていた東海林氏の報告が、事情があり、急遽別の機会に設定することとなり、北氏からは、資本・経済という観点から労働への影響を提起していただくことになりました。
連日報道される医療、農業、労働、そしてTPP-報道の役割はアジェンダ設定による“擦り込み”

6月上旬から中旬にかけて政府・与党は上記3分野の検討を進め、新聞でも連日報道がされていた。6月11日の新聞でも外国人労働の受け入れ拡大、労働時間規制の適用除外(ホワイトカラ-・エグゼンプション)、雇用ル-ルの透明化{=解雇ル-ル⇒金銭解決など}を含む「日本再興戦略」骨子案が報道されていた。

北さんは、まず“今日の講座でお話ししたいこと”として「TPPは日本の雇用、労働に心配ない?」「投資の自由、投資家保護の枠組みの影響は?」「ファンドと会社、そして労働者」「私企業による公共財横領という問題」「人が動く-安倍内閣の雇用改革」「帰結と対抗」を挙げ、以下のように、パワ-ポイントを使いながら、進行する事例、働くものの対抗の基本について、報告と問題提起をされた。

ジャーナリストとしての経験・立場から、TPP報道において労働問題に触れられることがなく、一般的には農業の市場開放を中心に貿易協定としての“擦り込み”がされているが、これはメディアの役割であるアジェンダ設定の典型だ、と喝破、これを揺さぶる必要があると訴えた。

TPPと親和性の高い安倍政権の政策が奪うもの、もたらすもの

TPPは直接的には労働に関わることを、特に“先進国”には強制していないが、安倍政権の労働政策はTPPと親和性が非常に高い。北氏は「世界で一番企業が活動し易い国」を目指しているが、小泉構造改革でも「世界標準」を目指していたにすぎないとし、投資の自由や投資家保護を極端に進めると、それは必然的に労働者に影響をするものと強調した。そしてその事例として、機関投資家や個人投資家から資金を集め、事業活動からの利益ではなく、資産や資本の売買による利益を求めて投資する、ファンドによる投資の自由の行使がもたらしたものとして、京品ホテルや昭和ゴム事件のような、横領とも言える資産の切り売りや持ち出しと、それによる労働者などへの影響を紹介した。
また、賃金を労働と切り離す成果主義について一部の若い人の間で肯定的に受け取られているとしながら、しかしそれは過重労働、コスト切り下げ、極端な場合は不正の温床ともなるものであること、またそれは企業の現場でのチカラや国民経済における内需を持続させるものではないとした。

対抗軸として求められるものは?

そして、「とにかく投資家受けする政策」のみが進められる状況に対して、働く現場での不条理の「見える化」と権利の「見える化」、顔の見える労使関係などの重要性を訴えると共に、「底辺への競争」への歯止めが今求められているとした。

会場からは、今の労働政策はTPPを社会の中で実体化するものだ、対抗軸として社会や企業のあり方のオルタ-ナティブを提起することと実現することが欠かせない、農地への投資は果たしてどう進むのか、ファンドに対抗する自治体の動きなどにISDS条項はじめTPPはどう影響するだろうか、など活発な意見や質問が出された。(記録:TPPに反対する人々の運動・近藤)