【イベント報告】農業改革の動きとTPP 全国農業会議所の柚木事務局長が提起(第2回連続講座)

 「TPPに反対する人々の運動」は4月から7月まで連続講座を開催し、環太平洋経済連携協定(TPP)体制を前に、「規制緩和」の名のもとで進む様々な「改革」の動きと問題点を探っている。第2回目は5月14日に「農業改革の動きとTPP問題」をテーマに開催、全国農業会議所事務局長の柚木茂夫さんに、安倍内閣が進める「成長戦略の主要課題としての農業改革」の動き、本質や狙いの提起を受けた。

同日、政府の規制改革会議の農業ワーキンググループが農業改革案を公表。農業委員会や農協、農業生産法人の見直しでの提言を行っている。

柚木さんはこれらを踏まえ、これまで安倍内閣が打ち出してきた「農林水産業・地域の活力創造プラン」(2013年12月)や、産業競争力会議での議論、国家戦略特区における農業分野の動きなどを説明した。これらの動きについて柚木さんは、「世界一企業活動がしやすい国をめざす産業政策に特化した競争力強化の視点だ」とし、「農業政策にはそれとは別に地域政策という視点も必要」と指摘した。

その上で、経済界などからしばしば指摘をされる企業の農地所有については「規制は日本だけ厳しい訳ではない。フランスも企業参入には高いハードルがあり、アメリカも州法で規制がある」とし、家族農業を維持するための措置の必要性を強調した。また、耕作放棄地の解消策のためとして企業が農業に参入することについても「これまでも農業委員会が遊休農地に対する解消の指導や農地の利用調整を数多くやっており、今後も地域の声を聞いて進めるべきだ。企業が入れば農業が強くなるという単純なものではない」と、安易な規制緩和の動きを厳しく批判した。

討論では、「農業委員会委員を自治体の首長の任命にするのは、開発のために農地を転用しやすくする狙いがあるのではないか」「農業改革はTPPによる自由化の動きを先取りするものではないか」などの意見が出された。これらに対し柚木さんは「農業生産法人の規制を緩和すれば、農業に関わらない者でも農地が持てることになり、投機の対象になる恐れがある。貿易が自由化されても食料自給を高めるために、どういう経営を地域農業の軸にしていくかが問われている。ヨーロッパでは家族農業が軸になっているが、日本はブレがあるのではないか」と述べた。

最後に「政府や経済界が何を狙っているか明らかになった。人と集落を基礎として農民が主体となった地域をどう再生させるか、TPPはそのせめぎあいの表れでもある」(「人々の運動」世話人の大野和興さん)と、地域での取り組みが強調された。
(TPPに反対する人々の運動 市村忠文)

★ ☆ 次回連続講座の予定 ☆ ★


2014連続講座第3回目「労働法の改悪の動き」

 今の通常国会で「労働者派遣法」が「改正」されれば、派遣先企業は受け入れ期間の3年が経過しても、労働組合や従業員代表の意見を聞くだけで派遣の利用を継続できるようになります。これを繰り返せば永久に派遣を使うことが可能になります。労働者が長年に渡って闘い獲得してきた労働者の権利が次々剥奪されてきています。
 新聞記者として、長年、こうした問題を追ってきた東海林智さんからは、労働法制度の改悪の動きや問題点を解説していただき、討論します。

【日 時】
6月11日(水)18:30~20:30

【場 所】
連合会館(旧総評会館)5階501会議室
(地下鉄「新御茶ノ水駅」・JR「御茶ノ水駅」下車)
地図はこちら http://rengokaikan.jp/access/

【講 師】
東海林智さん(毎日新聞記者)
1988年毎日新聞入社。社会部で厚生労働省担当。03年労働者派遣法改定の時にいち早く批判記事を書く。08年の「年越し派遣村」には実行委員として参画する。著書に『貧困の現場』『派遣村 国を動かした6日間』『15歳からの労働組合入門

【参加費】
各回800円/会員:各回500円

【申込方法】
以下のアドレスから申込できます
http://bit.ly/1lxDlmq