【イベント報告】12.11連続講座「山村の崩壊と再生・自立―秩父の村からの報告―」

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 「TPPに反対する人々の運動」では、10月から12月まで3回連続でTPP問題の連続講座を開催し、TPPが動き出したら私たちの暮らしや働く場で何が起こるかを具体的に検証してきた。最終回は12月11日に連合会館で開催され「山村の崩壊と再生・自立―秩父の村からの報告―」をテーマに、秩父市市議会議員の山中進さんを招いて、山村地域の現状や人びとの暮らしの実態などを報告してもらい、その再生と自立への道、さらにTPPによる影響などを討論した。

 山中さんは、埼玉県の秩父で林野率98%の旧大滝村を拠点に活動している。多くの中山間地と同様に、過疎化・高齢化やそれにともなう農業後継者の不足などで地域の活力が低下している。「斜面にへばりつくように畑を耕しても、鹿や猪などの獣害も多く、農業生産は2005年をピークに減少。最近は観光農業や農産加工等の高付加価値農業、『中津川イモ』という特産物などに活路を見いだそうとしている」と述べた。

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 また、住民自らが地域の資源や知恵、技術を都市住民に伝えるようと、エコ・ツーリズムを企画し、地域の伝統食の試食、栃モチのモチつき体験、中津川イモの田楽、鹿肉のケンチン汁の提供やトレッキングを開催して好評だった。山中さんは「今後は『源流ツーリズム』を定着するために、その活動を担う人材育成が必要」と課題をあげた。

 討議の中で、TPPが実施された場合の影響では「まず、特産のこんにゃくが全滅する。その危機感は強いが、具体的な運動に繋がっていない」と指摘。また、若者の移住の動きでは「最近は移住希望者も多いが、受け入れ体制が不十分だ。安定した仕事があれば…」。さらに、秩父市との合併についても「合併は間違いだった。市の中心地に移る人が増えて、過疎化が進んだ」と弊害も指摘した。

 こうした討議を受け「都市でも農村でも、穏やかに生きる権利が奪われつつある。TPPが入ってくれば、一番弱いところを直撃する。それに対し、足下からどう生活と地域を作るかが問われている」(農業ジャーナリスト・大野和興さん)とまとめられた。連続講座は来春からも新たな企画で継続の予定だ。 (市村忠文)