【活動報告】11月21日TPPに反対する人々の運動連続講座レポート

13年11月21日、さこ川利内(さこがわ・りだい)さん(医療福祉生協茨城副理事長)を講師に、第2回学習会を開きました。

 さこ川さんは、元東邦生命社長で今は茨城県取手市で、さまざまな困難に直面しながら一住民の立場から地域にねざした小さな生協病院と高齢者が安心して暮らせる場づくりに取り組んでいます。その思いと地域医療・地域福祉の現状と課題、将来のあるべき姿についてお話いただき、討論しました。

 さこ川さんは以前から準備していた医療福祉生協を2011年に茨城県取手市に立ち上げました。2241人の組合員が出資してスタッフを配置し、地域の人々の手で健康や生活に関する課題を解決していこうというものです。こうした組織は現在、全国に111施設あり、組合員数は278万人にのぼります。この福祉医療生協では、診療所と住宅型有料老人ホームを運営しています。「あおぞら診療所」と称する診療所の運営は黒字を出しています。

 ところがTPPへの参加によって、政府は外圧を利用して医療分野で新たな市場化を行なおうとしているのです。多国籍資本による医薬品メーカーが、日本を含む交渉参加国の薬の特許期間の延長や臨床デ-タの独占を行い、ジェネリック医薬品の製造・販売を遅らせます。現在の公的保険制度を縮小させようと、まず混合診療を行なう医療機関を増やします。混合診療は保険適用の治療と保険適用外の自由診療を患者が選択できるものですが、患者が自由診療を一部でも選ぶと治療費についてはすべて健康保険の適用はできなくなります。先進医療は自由診療で行なうようにさせ、徐々に国民皆保険制度を骨抜きにするのです。一方、ガン保険など第三分野とされる医療保険をアフラックなど米国の保険会社が販売します(日本の保険会社は「総合保険と特約」方式にこだわり、この分野では出遅れています)。外国資本、大手企業の支配下に置かれることに対して反対するため、この医療福祉法人は闘っています。

 質疑応答では、日本での経済特区での問題を指摘し、地域での生活を心配する声も上がりました。韓国のNGOなどの動向に詳しい丸山茂樹さんからは韓米FTAによって、ソウル市やインチョン市などでも経済特区が設定され、株式会社の病院ができて保険適用外の高度医療が広く提供されるようになったこと、薬価が上がっていること、既存のサムスン病院など5大病院では優秀なスタッフを集め4日で350万円もする健康診断を提供したりしており、国民の間で医療における格差が広がっていることなどが報告されました。

 自分が住む地域で安心して医者にかかることができ、老いていけることくらい切実な問題はありません。しかしいま、地域医療の現場は空洞化が目立ちます。医療制度や社会保険の規制緩和をめざすTPPが動き出したら、お金がなければ医者にかかれない、まちがいなくそんな事態がやってきます。さこ川さんは、医療生協の活動を頑張って、医療格差の是正、TPP阻止のために頑張ると決意を述べました。(山浦康明 記)