【イベント報告】9.19 自由貿易がアジアを襲う─東北タイの村からの報告

 9月19日、東京・連合会館で、海外ゲストを招いた学習会「自由貿易がアジアを襲う─東北タイの村からの報告」を開催した。日本を含めたアジア諸国では、環太平洋連携協定(TPP)に限らず、モノ・カネ・ヒト・サービスの自由化を迫る自由貿易(FTA)の網が幾重にも覆われている。今回の企画は、そのFTA網がアジアの村と農民に何をもたらしているかを捉えながら、今後の運動を作り上げていこうというもの。

 東南アジア有数の農業国であるタイから、農民運動家でカラシンケン県行政区運営機構代表も務めるバムルン・カヨタさんと、女性の活動者で東北タイの「オルタナティブ農業ネットワーク」を率いるジェンウェンさんが、タイの農業・農村の現状や自由貿易の影響、今後の運動について語った。

 バムルン・カヨタさんは、東北タイの農民運動のリーダーとして、90年代には数万を数える農民の大結集を背景に、大行進、集会、座り込みを敢行して、政府と直接交渉を行ってきた。その後は村に戻り、複合農業と堆肥作りを地域に根付かせる運動に力を入れ、選挙で選ばれる行政区運営機構に異例の当選を勝ち取ってきた。

 カヨタさんはタイでも自由貿易協定(FTA)の動きが急速になっており、「ニュージーランドやオーストラリアとのFTAによる乳製品輸入増加で酪農が壊滅状態になり、中国との締結で野菜や果物の輸入で大きな打撃を受けている」と語った。さらに、「今はアメリカやEUとのFTA交渉が行われており、大きな反対運動が起きている。自由貿易は弱い者をさらに疲弊させ、産業界が儲かる仕組みだ」と述べた。

 一方、ジェンウェンさんは「農民の学校を作り地域で有機農業のネットワーク作りを進めている。種も在来種を使い、その保存に力を入れている。若者が農業から離れつつあるが、農業をもとに持続可能な社会を作っていくことが大切だ」と力強く語った。

 今後の自由貿易の動きでは、「タイでは今はTPPへの参加は議論されていないが、東南アジア諸国連合(ASEAN)内での関税撤廃を2015年から行うことになっており、それに対する準備が進んでいない。米の価格はタイの市場ではトンあたり9000バーツ(約28000円)だが、ベトナムは6000バーツだ」と、厳しい現実をあげ、性急な自由化に反対するとした。その上で、「かつて日本の三里塚の闘いがタイの運動の参考になった。各国の農民や市民が連携することが大切だ。WTOも各国の運動で停滞させている。各地で反対する人々が力を合わせたら自由貿易の暴走を止められる」(カヨタさん)と確認しあった。