【新刊情報】グローバル時代のアジア地域統合 ―日米中関係とTPPのゆくえ ―

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グローバル時代のアジア地域統合―日米中関係とTPPのゆくえ (岩波ブックレット)

TPPめぐる政治家や官僚の話を聞いていると、必ずといっていいほど出てくるのが「2020年にアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けて」というどこかで決定したような共通目標だ。TPPはそこに向けた足がかりだという。この目標のルーツをたどると、1994年11月のインドネシアでの首脳会議で採択された「APEC経済首脳の共通の宣言」(ボゴール宣言)で、そこに書かれた「先進エコノミーは遅くとも2010年までに,また,途上エコノミーは遅くとも2020年までに自由で開かれた貿易及び投資という目標を達成する」の文言にたどりつく。

日本が取り組んできた地域間協定は、ASEAN+3(日中韓)、ASEAN+6(日中韓、豪州、ニュージーランド、インド)で、一度は「東アジア共同体」の構想を掲げていた。TPPを進めることで日中韓の問題はどうするのか。「自由で開かれた貿易」をと進めてきた国や地域がどんどん疲弊していくなかで、いったい“かつて”の先進国はどう国際社会にコミットすべきなのか。すでに存在する地域間協力の全体像を把握するためにも、抑えておきたい一冊です。

(以下、岩波ブックレットHPより)

<著者メッセージ>
「EU(欧州連合)は今、金融危機で大変ですね。なぜ地域統合をアジアで推進しようと考えるのですか」
 これが最近、私の研究や講演に対する、日本・アメリカを問わず、聞かれる問いである。しかしグローバル時代においては,先進国の長期的衰退と、新興国の成長という主要潮流が本質的な問題である。短期的にはEUが大変に映るかもしれないが、アメリカ、日本も見方によってはEU以上に大変な危機に直面している。グローバル化の中で、「先進国」全体が、新興国からの競争による挑戦を受けているのである。(略)
 またアメリカも現在、自らを、成長を遂げる「アジア太平洋の一員」だと唱えて、生き残りをかけた地域戦略に突入しているのである。TPPのねらいも、そこにある。
 日本も、3.11の大災害を経て、どのように復興の道を探っていくのかというとき、アジアの地域統合と世界との共存が、最も重要な方策である、と筆者は確信する。(本書「おわりに」より)

<著者プロフィール>
羽場久美子(はば・くみこ)
津田塾大学大学院国際関係学研究科博士後期課程修了。学術博士(国際関係学)。青山学院大学大学院国際政治学専攻教授。ハーバード大学客員研究員。東アジア共同体評議会副議長。国際アジア共同体学会副代表。ジャン・モネ・チェア(EU)。
専門は拡大EU・NATO、冷戦史、ナショナリズム、アジア地域統合とアメリカ。
著書に、『拡大ヨーロッパの挑戦―アメリカに並ぶ多元的パワーとなるか』(中公新書,2004年)、『ヨーロッパ統合のゆくえ―民族・地域・国家』(人文書院・2001年)、『ヨーロッパの東方拡大』(共編,岩波書店,2006年)など多数.

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