「TPPに反対する人々の運動」

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zoom RSS TPPから見える風景 −官僚の屁理屈と思い違い−

<<   作成日時 : 2017/06/23 06:27   >>

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TPPに反対する人々の運動
近藤康男

日欧EPAの“大枠合意”は果たして?
日欧EPAのEU側首席交渉官が先週から来日し、日欧EPAの交渉が急に慌ただしくなっている。“7月政治決着”という言葉は5月頃からEU筋からは聞こえてきたが、6月に入って日本においても先週からの首席交渉官を含む大詰めの交渉や、双方の首脳による“7月大枠合意”の可能性を伝える報道ラッシュが始まった。

先行きが見えてくれば、通商担当のマルムストロ−ム委員が来日して閣僚レベルでの政治判断に持ち込むとの声がEU筋からは聞こえて来る。農産品、自動車を始めとする関税の決着が、7月の首脳レベルでの“大枠合意”の必要条件であり、その場合「投資家対国家間紛争処理」更には「Data flow, Data localization」は先送りもあるとのことだ。これは、カナダとEUのFTA(CETA)が、投資章についてEU各国の多くからの反発が強く、結局ベルギ−の一地方議会の承認が得られないために「暫定発効」という選択をせざるを得なかった事例に準じたパタ−ンのようにも推測される。ただ、そのCETAの暫定発効は7月1日から適用されるかもしれない、とも言われ、あるいはカナダ側の事情で暫らく発効が実行されないとの見方も出てきている。更にEUの通商政策専門紙Borderlexは6月20日「EU各国は7月決着について委任をしていないとの立場をとっている」とも伝えている。

日欧の前のめりの“大枠合意”は果たしてどうなるのやら…。

背景をはき違えた屁理屈と思い違い
TPPでも最後まで残った乳製品は、日欧EPAでもEU側の拘りが強い。TPPでは低関税枠をWTOのカレントアクセス(生乳換算13.7万トン)の外枠として、全締約国向けに6年目以降7万トンを設定したが、EUにも3万トンの低関税枠を容認するようだ。TPPと合わせると10万トンとなる。政府の言い分は、この3年間、バタ−・脱粉不足を補うために10万トンの追加輸入をしているので、3万トンを新たに受け入れても追加輸入の範囲に納まるというもののようだ。(6月4日農業新聞)

算数は合っている??しかし、WTOによる輸入拡大や高齢化による廃業などにより生乳の生産が縮小してきた結果による追加輸入であり、「追加輸入の範囲だ」ということを理由にしたら、生産減少と輸入増のサイクルは繰り返されることにしかならない。酪農の経営と生産基盤を持続させる範囲内だということには決してならない。無理な屁理屈であり、全くの思い違いだ

利害関係者には通用しない屁理屈と思い違い
また政府は通商交渉の場において、例えば自動車で関税撤廃を求める一方、農産品では譲歩をしながら、総体的な着地点を探るために様々なカ−ドを切る。交渉官にとっては全体が利害の対象だからだ。しかし、それぞれの利害関係者にとっては、自動車は自動車であり農産品は農産品だ。従って交渉官にとってはうまくまとめた交渉でも、農産品の生産者にはマイナスでしかないし、既に“影響が小さい”とされた農産品の多くはこれまで日豪EPA,TPPと譲歩を重ねてきており、カードとして使う余地が残っていないのが実態だ。個々の譲歩は全て生産縮小、収入の減少を意味することを、交渉の最中に交渉官はどれだけ意識するだろうか?

加工食品が日欧EPAでは“影響が小さい”として譲歩の対象となっているようだ。国内食品メーカーの業界団体・食品産業センターはいみじくも、「政府は加工食品の対策に関心を持ってくれない」との不満を漏らしている。(6月18日付け日経)

日本政府は譲歩の連鎖を食い止めるつもりはあるのだろうか?
直近でも、日豪EPA,TPP、日欧EPA,その先には更にRCEP、日米協議が待っている。主要農産品で日豪EPA以上の譲歩はしないと与党議員は息巻いていたが、結局TPPでは更に主要農産品の関税削減、低関税枠・無税枠の追加を受け入れた。日欧EPAは未だ交渉中だが、酪農製品では追加の低関税枠を受け入れる方向だ。TPP水準死守と言っている林業では、TPPと同水準でも、EU産が輸入の9割を占める集成材では当然輸入は劇的に増える。結局譲歩の連鎖は続いている。一方で自動車など米国向けの関税撤廃期間は25年、日欧EPAでは韓国からのEU向け並みを求めても跳ね返されているらしい。

譲歩だけが連鎖の途を辿っている。

(Jacom掲載原稿から許可を得て転載)

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