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zoom RSS 第15回TPP交渉会合“説明会 by ワイゼルTPP首席交渉官”のメモ

<<   作成日時 : 2013/02/07 07:20   >>

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 去る1月10日、ワシントンで開催された米国通商代表部(USTR)のバーバラ・ワイゼルTPP首席交渉官による第15回TPP交渉会合(オ−クランド)に関する説明会のメモを翻訳しました。いくつかの困難な項目が残されていることと同時に、多くの分野で進展があることがわかります。一方で分野横断的事項、政治判断の必要とされる事項、重要関心品目に関する市場参入の最終判断、知財、国有企業などについてはまだ争点が残されています。更に環境・労働などはスタ−トラインが整えられた段階のようです。
 日本と異なり、各国では、交渉会合の都度市民団体を含む利害関係者への説明会が必ず行われたり、そうでない国では交渉官との意見交換の機会が保障されていることもあり、限界があるものの一定の情報公開が担保されていることにも注目すべきでしょう。なお、当日参加した市民団体の参加者が作成したメモであることをご了解ください。(翻訳:清水亮子/監修:廣内かおり)

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2013年1月10日
バーバラ・ワイゼル(米国TPP主席交渉官)による説明会のメモ


12月のTPP会合に先立つ(米国)大統領の東南アジア訪問で、大統領はTPPに加盟している6カ国と会談する機会があった。6カ国は東アジアサミットに出席し、大統領の2期目における交渉の優先順位について話し合うことになっていた。また大統領はオークランド会合の前に、他のTPP加盟国首脳とも電話会議を行った。したがって、交渉官たちは、各国首脳からしっかりと指針を受けて会合に入った。

オークランド会合(第15回TPP交渉会合)の第一の目標は、交渉を進めつつ、カナダとメキシコを交渉に組み入れることだった。カナダとメキシコによる10月の交渉参加以降、これらの国を条文作成のスピードにのせるために多くの時間が費やされてきた。今回の会合が、これら2カ国を組み入れるためだけのものでないことを両国とも承知しており、準備を整えて参加していた。メキシコは会合の数日前に政権が交代したため心配したが、メキシコの交渉官たちに支障をきたすことはなかった。したがって、この目標は達成できた。

第二の目標は、条文内容と市場参入の話し合いについて、引き続き実質的な進展をはかることにあった。かなりの進展がみられている。私が繰り返しこう言うのをからかう人がいることは知っているが、交渉の複雑さをご理解いただきたい。15回にのぼる会合の第1回目の時には、何の文章もなかった。各国が自分の条文を持ち寄ったため、同じ問題について8〜9の条文が提案されることもあった。交渉の場にいないと、その苦労を理解するのは困難だろう。各章は70〜90ページもあり、それが29章ある。しかし、我々は決着に近づいている章があることも認識している。ただし、横断的な決定や政治的決定が必要な問題、また市場参入に関する特定の決定が下されなければ解決しない問題を除く章である。

一方、多くの章についてはうまく進んでいる。難しい課題が残るのは以下のとおり:
・TBT(貿易の技術的障害)では、(輸入商品の登録手続きにおける)独自製法・独自成分についての新しい付属書が提案された。私たちが提案したのではなく、マレーシアによる提案である。
・議論が続いているのは、知的所有権、国有企業(SOEs)、環境、労働の章の一部、電子商取引、投資の章の一部である。投資の章はとても長い章だ。
· SPS(衛生植物検疫措置)に関するいくつかの問題--条文提案を視野に入れているが、米国内でまだ意見の一致をみていない。
· SOEs – 見解が大きく異なる。これまでの会合で充実した議論があり、いくつかの項目を修正してきたが、(協定の定める)義務が自国にとってどのような意味を持つことになるか、まだ検討している国も複数ある。カナダは我々にとってたいへん助けになった。SOEsに関する規律が重要だという発言もしている。
· 環境 –異なる条文が多くあり、相違を埋める方法を見つけようとしている。
· 知的所有権 – オークランドでは成果があった。章の最初の方でいくらかの一般的な取り決めがあったが、交渉の歩みは依然として遅い。
· 市場参入– 米国は繊維と衣料品に利害を持つ企業や利害関係者と議論を続けている。これまで説明会の対象としてきた利害関係者やTPP交渉参加国など様々な利害関係者にとっての妥協案を模索しており、概ね前向きな反応を得ているので、その立場を詰めているところだ。
· サービス、金融サービス、政府調達の市場参入に関するオークランドでの議論はほとんどなし。 – 焦点は規制について。

次の会合はシンガポールで開催の予定。利害関係者の参加に関する情報はなし。シンガポール会合までの間に、他のTPP参加国や利害関係者と数多くの話し合いがおこなわれる予定。ただし、公式な中間会合交渉の予定はなし。多くが非公式な協議となる。

<質疑応答>

Q: 投資の章に関する質問。特許の差止請求を制限する特許庁の命令があった場合、それに異議申し立てるためにTPPの投資の章が使われることはないのか?
A: その件にいてはよくわからないため、答えられない。お望みなら投資チームとの会合を設定できるかもしれない。

Q: 米国はデータの12年間非公開の立場か?あるいは生物製剤は?
A:そうではない。

Q: 秘密主義/透明性の欠如への懸念を考えると、この説明会に電話参加できるように回線をひいてはどうか?
A: 我々は何度も説明会を開き、多くの人が参加しており、私たちが出向くこともある。他の人たちが参加していないというわけではない(きわめて防御的な言い方)。

Q: 生物製剤について、米国は修正した条文を提案するつもりか?
A: 12月以降、内部での議論が始まったが、休暇を挟んだためあまり進んでいない。またトップの人員交代もあるので、医薬品分野の決定など特定の見解がある分野には時間をかける必然がある。決定の時期については、具体的な回答を持ち合わせていない。

Q:ニュージーランドとカナダとの酪農製品の市場参入交渉についての計画や日程は?
A: 酪農製品の交渉を始めるときには連絡する。私たちはチームスターズ労組(訳注:質問者の所属団体でもある)を諮問グループに入れるつもりだからだ。これまでは、ニュージーランドの産業などを理解するために、ニュージーランドと予備的な議論をしただけだ。まだ内部での議論も始まっていない。酪農製品は我々にとって重要品目に入っており、結論は急いでいない。カナダについては、供給管理システムに注目しており、カナダの乳製品市場に参入したいと考えている。オークランドでは、複数の国がカナダに対し交渉参加の条件を理解するよう圧力をかけるのを見て、嬉しく思った。カナダとEUのFTAにおけるカナダの酪農についての取り決めの結果を見てから、我々の立場を知らせようと思う。まだこの件について、カナダと市場参入の交渉はしていない。

Q:米国によるタバコの例外に関する提案の支持を表明した。しかしこの件について何も提案されないまま会合が経過しており、懸念している。何が起こったのか? どのような計画なのか?
A: 我々が提案の概要を公表した際、多くの意見をもらった。賛成意見もあったし、もっと踏み込むべきという意見もあったが、大多数が反対意見だった。経済界と農業団体からだ。とはいえ、どちらを支持する人が多いかという数で決めると言っているわけではない。

Q: 米国のRDC(鉄道開発公社)による、CAFTA(中央アメリカ自由貿易協定)の投資家対国家間紛争解決条項に基づくグァテマラ政府に対する提訴に対する裁定により、CAFTAの投資条項の国際慣習法に関する付属書が待遇最低水準の過度な拡大解釈を排除できないことが立証されてから数ヶ月が経過した。いま、米国通商代表部の立場はどうなっているのか?TPP交渉ではこの問題をどう取り扱っているのか?(※米国のRDC社のグァテマラ子会社が引き受けたグァテマラの鉄道再建の契約が問題ありとしてグァテマラ政府により破棄されたことに対して損害賠償を求め、認められたもの)
A: 私が言えることは、我々の分析結果は、あなたの解釈とは違うということだけだ。ここには我々の投資チームがいないので、この件をどう扱ったか言うことはできない。ご希望があれば、説明の場を設定することはできる。

Q: それでは交渉の中での通商代表部の立場は、違った解釈に基づいているということか?内部で結論は出ているのか?
A: 投資チームと話していただいた方が満足いくだろう。

Q: オークランドで利害関係者が懸念したのは、交渉の会場に入ることができず、交渉担当者に会うのが難しかったことだった。このようなことが前例になってほしくない。米国通商代表部は、シンガポールやペルーに対して、利害関係者たちが会場に近づけるよう確約を迫るつもりはないか?
A: ニュージーランドが利害関係者を締め出したかのように見るのはフェアではない。会場が小さすぎて利害関係者を入れることができなかったのだ。利害関係者を意図的に締め出したわけではない。どの会合についても、交渉自体の時間と場所を確保しつつ、利害関係者が交渉官と会う場を設定するようあらゆる努力をしてきた。参加の機会を作るよう努力を続けているが、批判も受け続けている。話し合いの場を設けては激しい怒りをぶつけられ、そういった場を廃止してもやはり激しく怒られる。人々が本当に何を望んでいるのか分からないし、どうしていいのかわからない。皆さんが何を望んでいるのか、はっきりとしたメッセージを届けてくれれば、私たちは他の参加国の交渉官たちにそのことを伝えることができる。他の国は、利害関係者の参加を不必要と思っている。利害関係者たちと会う機会は会合前に十分あり、交渉のための時間を削られたくないと考えているのだ。米国が利害関係者の参加を推し進め、交渉を中断させて、交渉担当者を説明の場に参加させてきた。

Q: ACTA(模造品・海賊版防止条約), WIPO(世界知的財産権機関), WTO, FTAA(米州自由貿易圏)のような交渉テキストの公開に関する質問。私たちが法律にのっとっているだけでは知り得ないような事柄について話し合いをしようとしているのであれば、利害関係者の参加というのはカフカ的で不条理ではないか?
A: どのように呼んでもいいが、我々がこの協定について交渉している方法はそうではない。我々は利害関係者に対して各章の詳細な要約を提供しており、それについて話すことは違法ではない。我々は公衆の面前では交渉をしないというだけだ。

Q:シンガポールでは特許権について議論をするか?特許について議論が始まってから1年以上経っている。他の国が特許について草案を提案すると聞いている。その場合、シンガポールでは何が議論されるのか?
A: まだ内部で検討中のため、シンガポールでさらに議論するほど準備が整うことはなさそうだ。他の国が条文を提案することはもちろん自由だが、提案したとしても、必ずしもシンガポールで議論されるということではない。知的所有権交渉の議題についてはまだ検討中だ。

Q: タバコの例外に関する内部諮問について、もう少し話してもらえないか?時間軸について何か情報はないか?条文の修正に関する諮問なのか、それとも、そもそも例外を提案するか否か、を決めるための諮問なのか?
A: 管轄の議会委員会との会合があり、他の利害関係者からの情報提供も受けている(まだ整理できていないが、進捗に関する情報を得ている)。次の作業内容を決定してから、さらに諮問をおこなう。決定事項の内容や日程については情報がない。

Q: ベトナムに関して労働の章に大きな動きがあったという報道があったが、それについて詳しく説明してもらえないか?カナダは、金銭補償にもとづく労働紛争解決についての対案を提出したか?
A: 私が言おうとしたのは、労働交渉について大きな進展をみた分野がたくさんあったということだ。具体的にベトナムについてということではないが、ベトナムが交渉のテーブルについていた参加国の1つだったのは確かだ。(言葉の)定義について進展があった。基本的労働権、許容できる労働条件等々の“適用と擁護”。たいへん勇気の出るような進展があった。議論が継続され、(協定の)施行/協力…??についていくつかの対案が出た。労働紛争解決に対する米国の方法についてはいつも意見が分かれており、いまも議論は続いている。カナダは他のFTA協定の中で、紛争解決について新しい方法をとっているように見受けられる。それについてカナダは参加国に説明し、文書での情報提供を求められた。正式に条文を提案したわけではない。提案するかどうか我々にはわからない。しかしカナダも高い労働基準を支持する立場であり、この分野で我々を支持している。

Q::紛争解決について、もう少し説明を。
A:実施可能な労働基準と環境基準が米国の交渉参加の必要条件だということは、米国がTPP交渉を始める前から明確にしていた。他の国は私たちのやり方に特に好意的というわけではないため、我々はこの件について多くを語っている。米国がこの点について立場を変更すると考えている国もあるが、我々と前にも交渉をしたり、我々の交渉を見てきて、われわれがこの方法なくして交渉を妥結することはないと知っている国もある。何度も会合を重ねているが、環境の章の交渉は行き詰まっている。環境が紛争解決の対象になるかどうかがわからないうちは、他の基準について議論しようとしない国があるからだ。しかし、この点について多少の進展はあった。

Q: 知的所有権の章では、地理的表示と著作権について何か進展はあったか。
A:地理的表示について、オークランド会合の議論は充実していたが、合意はなかった。著作権についても同様。

Q: 通商代表部は、我々の公正な使用がいわゆる(知財權適用の例外、範囲の適用に関する)「三段階テスト」を通ると思うか?そうは思わない法律の専門家が多いのだが。
A:我々の分析とは違うが、この点については知的所有権の交渉官に同席してもらう必要があるだろう。(翻訳:清水亮子/監修:廣内かおり)

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