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zoom RSS 二期目のオバマ政権とTPP

<<   作成日時 : 2012/11/28 19:31   >>

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11月7日Inside US Trade 掲載小論からの翻訳・抜粋で、2期目を迎えたオバマ政権の貿易政策の基本を分析しています。米国議会において果たしてTPPがすんなり承認されるのか、TPP自体の早期妥結に向けた決断が可能なのか、アジアの主要国が参加するのか、様々な課題に直面しそうである。そして更に中国に対してどう対応するのか。(翻訳:池上 明/監修:廣内かおり)

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二期目のオバマ大統領、貿易問題を歩み寄りの分野とみなすかもしれない

選挙結果が判明した。アメリカ合衆国はもうしばらく同じ状況を選択した。オバマ大統領は次の4年間もホワイトハウスに居座り,下院は引き続き共和党が過半数を占め、そして民主党は上院で僅差での多数派を維持することになる。貿易問題に関して、2期目のオバマは、旧来と新規、双方のイニシアティブを進展させるという基本原則をとると考えられる。

この「現状維持」の選挙結果から、米政府は党派の衝突による膠着状態に相変らず悩まされるだろうと見られている。つまりオバマは、行政権を行使できる問題か、あるいは2党間で妥協が可能な問題に精力を傾注するだろうということだ。貿易問題は明らかに後者の範疇に当てはまる。また、2期目の大統領というのは、とかく外交政策や国際関係に一層の力を注ぐというのも事実である。

貿易政策に関して言えば、これまでに着手した政策を完遂するために多くの時間が割かれ、またEUとの貿易関係深化のための新しい政策が行使されることになるだろう。

既に着手されている政策に関していえば、オバマはおそらく、環太平洋経済連携(TPP)協定の締結と議会での可決、特定の世界貿易機関(WTO)加盟国との間での新たなサ−ビス分野に関する多国間討議の終結、1996年の情報技術協定(ITA情報技術製品の関税撤廃に関する協定)拡大の追求、米中間の二国間投資協定(BIT)の協議進捗を試みるだろう。

予想されるEUとの通商戦略ついて、先日、政府責任者が実現の意向を明らかにしたが、協定の範囲と時期はいまだはっきりしてない。またオバマ政権は、中国との投資協定(BIT)に加えて、2期目にはインドとの投資協定(BIT)協議をまとめることも模索する可能性がある。

オバマが第2期のいずれかの時期に、行き詰まっているドーハラウンドに取り組むのか、またはどう扱うのかも明らかになっていない。この問題は、WTOが閣僚会議を再度予定している2013年12月に浮上するだろう。米国政府はその時に、何らかの前向きな発表をおこないたいと考えるだろう。しかし大方の観測では、新サービス分野か、情報技術協定(ITA)拡大の問題がその行方を左右しうるものとみられている。

大統領は多国間での解決方法を優先する意向をもってはいるが、これらの観測によると、オバマは行き詰まっているドーハラウンドをそのまま放置する公算が大きいとみられる。ドーハラウンドの項目のより些細な問題についてでさえ、全てのWTO加盟国の合意を得ることはできそうにないのである。さらに、アメリカの実業界からも、既に着手されているサービス分野やITA交渉の問題以上に、多国間協議を復活させてほしいという圧力はほとんどない。

こうした状況のなか、オバマがこの2期目に、新しい貿易責任者のトップを選ばなければならないという事実も浮かんでくる。現在のところ確たる商務長官は決まっておらず、そして通商代表部(USTR)のロン・カーク代表は、2期目は担当しないと公言している。通商代表の後継者の関心は、オバマが第2期においてどの程度、USTRを含む貿易担当部門の再編成を行おうとするのか、にかかっているのかもしれない。

2期目のオバマにとって最も切迫している貿易問題は、TPP協定に対する議会の可決と承認だろう。交渉は32か月以上に及んでいるにもかかわらず、協議はいまだに最も困難な問題の障害に直面しており、2014年中でも終了しない可能性がある。来年になれば、オバマ政権は、TPP加盟国からの抵抗を受けても論争を継続すべき問題と、解決の可能な問題とを見極める作業に入らざるを得ない。交渉が妥結した後も、オバマ政権は協定が確実に一任されるよう、ファスト・トラック権限(大統領の通商交渉権限を強化する一括交渉権。TPA=大統領貿易促進権限と呼ばれる)のような何らかの形を確保するための難しい作業に直面するだろう。政府の交渉責任者は、「適切な時期に」そして特定の目的のためにそのような権限を求めると明言したが、その権限の要求がTPPだけを対象にするのかそれとも貿易問題に関する、より広い範囲を対象にするのかについては、はっきりさせていない。

いずれにしても、ファスト・トラックをめぐる議会との戦いは厳しいものとなろう。オバマ政権が、将来の貿易協定のための交渉ガイドラインに関する議会の優先権を認めることなしに、議会に対して貿易協定の修正権限を放棄させることは困難であると見られている。しかしこの問題は時間のかかる面倒な議論に他ならず、政府は深入りを躊躇するかもしれない。

例えば、「2007年5月」の労働及び環境に関する規則が新しいファスト・トラック権限に反映されるべきか、国有企業に関する規律のような新しい問題のどこまでが含まれるべきか、といった議論が必要となるかもしれない。現政権にファスト・トラックをもたらす投票も、TPP自体に関する「委任」投票になるかもしれない。
通常ならTPPに対するオバマの活動を支持する共和党員もまた、ファスト・トラック権限の安易な移譲は拒否するかもしれず、代わりに、大統領が労働者の権利や環境保護のような分野で行き過ぎだと判断すれば、TPP最終合意の変更を要求する可能性がある、と警告してきた。一方、上院の共和党員はとりわけ、一度限りの適用ではないもっと恒久的な形のファスト・トラック権限を大統領に与えたいとも述べている。

TPPの場合にはさらに別の「未知の要素」が存在している。それは、他のアジア太平洋諸国、特に日本と韓国が目下の交渉か、最終合意のいずれかへの加入をどの程度本気で模索しているかという問題との絡みである。観測筋の間では、TPPの経済的価値は、今現在、限定的であり、地域のより大きな貿易相手国たちが加盟に前向きで、実際に可能となる時にのみ 、協定の真の重要性が出てくるだろうという見方で大方一致している。

中国に対しては、米国政府と中国政府の間でなおも摩擦の争点となっている多くの貿易問題の扱いについて、大統領は決断しなければならないだろう。この分野で、オバマは2つの大きな課題に直面している。1つ目は中国が現在行っている、常態化した「売り言葉に会言葉」的報復措置だ。特に、中国政府は常にある種の応酬手段を選択している―米国政府が中国に対して強制的行動を行えば、直ちにWTOの新たな法的措置に訴え、貿易救済措置を課す―。なかにはその結果、中国の対応にWTOの規則違反があり中止されるべきだということを、米国政府が立証する立場に追い込まれているケースもある。

オバマがこれらの「報復的な」手段に対しておこなっている厳格な対応を変更するのは難しいと考えられる。しかし、中国からの協力に期待を寄せることは明らかに無理であることから、今月末に中国で指名される指導者たちとの協力関係を築くための新たな方法を模索するか否か、という問題が浮上してくる。もちろん、もっと幅広い意味で、これらの指導者を知り、対処していくことは、2期目のオバマにとっての大きな課題である。

2つ目として、中国に対応する上で行使したいくつかの「手段」が2期目の途中で(期限が来て)消滅したあと、中国との貿易問題にいかに対処するのかをオバマは見極める必要があるということだ。その例として、対中国の緊急輸入制限(セーフガード)がある。1期目でオバマが中国のタイヤ輸入に課した関税が来年で期限切れとなるのである。

さらに、アメリカと他のWTO加盟国は、中国からの輸入に対してアンチダンピング防止税(AD)を適用した際に、中国を市場経済として認識することで合意した。このような措置の適用は、規範的な措置にくらべて、アンチダンピング税(AD)率を拡大する傾向となる。

この時点で、米国が中国を市場経済とみなすのか、またはアメリカが中国を相変らずNME(非市場経済国)として扱うかについては、全く不明である。しかし、もし後者を選択するならば、中国政府との関係を複雑化させることになるだろう。

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