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zoom RSS 国境措置の撤廃計画、エクセル・フーズの牛肉回収のきっかけとなった食肉検査つぶしを狙う

<<   作成日時 : 2012/11/05 20:00   >>

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 以下の記事で報道されている問題は、NAFTAの結果としてカナダ・米国・メキシコが進めてきた"Regulatory Coherence(規制の内外一貫性)"が、表面的にはうまく行っているかのようであるが、その実、命に関わる致命的な問題を起こし、行き詰っていることを示している。「規制の内外一貫性」に基づき食肉の貿易における国境措置(検査)の撤廃に向けた試行の矢先、米国向けのカナダ牛肉が米国側の国境検査で大腸菌汚染を摘発され、大規模な回収と病例の発生を起こしたのである。
 しかしカナダでは同様の安全に関わる事件を過去にも起こしている。2005年カナダ政府がスマ−ト・レギュレ−ションと称して可能な限り規制を撤廃し、米国の基準と手続きを採用した結果起きた諸問題である。この"Regulatory Coherence(規制の内外一貫性)"は、同様にTPPで重要視されている"Connectivity(接続性)"と一体となってグロ−バルな商流・物流を円滑化・効率化するものとされているが、まさにそれぞれの国が必要としている自主的な政策領域を狭めるものであり、食について言えば安全・いのちを危うくするものでもある。

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国境措置の撤廃計画、エクセル・フーズの牛肉回収のきっかけとなった食肉検査つぶしを狙う(ハフィントンポスト)

(オタワ発―)カナダ史上最大の食品回収事件―米国の検査官が大腸菌に汚染された牛肉の貨物輸送を差し止めたことから始まった―を受けて、米国とカナダ両政府は食肉の2次検査の撤廃計画に対する反発の高まりに直面している。
 2011年12月両国で発表された「国境措置撤廃」計画の下、畜肉・鶏肉の国境を越える流通を改善するため、重複する検査は撤廃される予定である。検査体制の簡素化に向けた試行計画が今週始まった。
 しかし、アルバータ州ブルックスのエクセル・フーズの工場から出荷された牛肉に最初に警鐘を鳴らしたのは、まさにその2次検査だった。アメリカ農務省(USDA)の検査官が9月3日、モンタナの国境検問所で大腸菌のついた積荷を差し止めたのだ。
 カナダ食品検査庁(CFIA)の職員は、アメリカ農務省からの通報を受け、もともと輸出許可されていた食肉を再検査したときに初めて大腸菌を検出した、と認めた。しかしウェブサイトのなかで、CFIA(カナダ食品検査庁)は「通常検査」中に検出したものの、検査庁に対するエクセル・フーズからの情報提供に時間がかかり、回収の発表が遅れたと主張している。 
 米国政府は9月13日に輸出禁止を求め、その3日後にCFIA(カナダ食品検査庁)はカナダで製品回収の最初の公示を発表。大腸菌汚染、維持管理そして衛生管理に関する問題で工場の操業許可を取り消したのはさらに2週間後のことだった。カナダ全国で1,800品目を超えるエクセル・フ−ズ社の食品のほか、米国とその他20カ国に輸出された110万kgを超す牛肉も回収された。
 国境措置の撤廃計画を批判する人たちは、国境検査には実施する価値があり、撤廃されるべきではないことを、アルバータ州の牛肉回収事件が証明したと指摘している。

「我々は最初から[二次食肉検査の撤廃]がいかに馬鹿げた考えかを訴え、反対していた。そしてエクセル社で起こったことは我々の主張の正しさを証明している」とワシントンD.C.に拠点を置く食品と水の監視団体、Food & Water Watchの上級ロビイスト、トニー・コーボ氏は言う。
「[検査]が貿易を妨げるという主張や論法はすべて馬鹿げている。貿易によって、食の安全がないがしろになってはならない。」
 コーボ氏は、アメリカ人の食卓に上る食料に関してカナダの検査官が信用できるとは思っていないし、米国の係官もこの北の国境からくる製品の衛生基準違反に目をつぶることがよくあると語った。
「昔からアメリカ農務省は、本気でカナダの食料安全検査体制の検証などしていない。」と彼は言う。「係官が違反に気づいても、いつでもカナダは見逃してもらうようだ。」
 米国消費者連盟食料政策研究所の所長クリス・ウォルドロップ氏は、ハフィントン・ポスト・カナダに、エクセル社の回収事件が起こった今、国境検査は目的にうまくかなっていることが「火を見るより明らか」になったと語った。
 また、「国境でのチェックで汚染や問題が見つかり、その結果製品が発生源の工場に送り返された事例は多数ある。国境検査が有効で、目的にかなっているということを示しており、国境検査を避けて受け取り先の工場へ直接出荷することを許せば、安全性の観点から非常に深刻な問題が起こるだろう」とも語った。
 約300の米国の消費者団体を代表する統括組織、食料安全連合は先日、米国農務長官トム・ヴィルザック宛てに書簡を送り(リンク=pdfファイル)、食の安全を危うくする恐れがあるため、国境措置の撤廃に向けた試行計画の実施を中止するよう要請した。
 少なくとも今のところ、この試行計画によって国境で行われている微生物や残渣の抜き取り検査―エクセル社の汚染された製品を見つけ出した検査―の数が減ることにはならないだろう。現在、およそトラック10台に1台の割合で検査がおこなわれている。しかし、米国市場に入るすべてのトラックを対象とした製品とラベルの検査は撤廃されることになる。
 カナダ政府は徐々に動きだしており、国境を挟んだ両国で工場を操業している豚肉処理加工会社の一つを試行計画に参加させるために選んだ(牛肉処理加工会社も同様に選びたいとしている)。その会社のトラックはCFIA(カナダ食品検査庁)の係官から事前に認可を得、途中通告されなければ、その肉は製品およびラベルの検査―そして国境検査所での長時間の待機―を回避し、積荷を米国農務省食品安全検査局(FSIS)検査済みのアメリカ側の工場に直接降ろすことになる。

 ニューヨーク州ナイアガラの滝近くにある畜肉・鶏肉検査機関の作業員、ウォリー・ピアコフスキー氏は、国境検査が撤廃されたら生活が立ち行かなくなることを認めながらも、自分は価値のある仕事をしていると主張する。
 有毒化学物質と隣り合わせで長旅をする肉、糞便のついた牛肉、そしてトラックの荷台にこぼれる包装されていないひき肉の積荷など、自ら撮影した写真を指差し、すべてのトラックが米国に入るときに検査されるべきだと彼は言う。
「化学物質に二次感染した肉を食べたいですか。床に置かれていた肉を食べたいですか」とピアコフスキー氏は言う。「そんな肉は完全に破棄するか、あるいはカナダへ送り返すかして、絶対に食料供給のルートには乗せない。それを100パーセント保証しているのが国境なのです」
 カナダへ送り返される製品は毎週出ているとピアコフスキー氏は付け加えた。彼は日曜日に25箱を送り返した。ラベルの表示がなかったか、ついていても適正ではなかったからだ。
 カナダ農業相ゲリー・リッツは、国境での二次検査に関するハフポストの質問への回答を拒否した。質問の内容は、エクセル社の牛肉回収事件を受けて検査撤廃の計画が見直されるのか、またカナダ政府はアメリカの消費者の口に入る肉に関して食品検査官を増員する、あるいは検査要件を強化するといったことを計画しているか、というものだった。
 リッツ農相はハフポストに対するEメールのなかで、「食の安全に関しては、何よりもまずカナダの消費者が常に政府の最優先事項である。」と答え、「国境措置の撤廃計画は、決して食の安全性を低下させるものではない。」と付け加えた。
 国境措置の撤廃は食の安全性を低下させようとしているわけではないが、検査数の削減を図るものではあるとCFIA(カナダ食品検査庁)の政策計画担当の副長官ニール・バウワーは認めている。
 現在、国境の両側で加工される肉は3回検査を受ける。カナダの加工工場、国境検査所、そしてもう一度アメリカの加工工場での検査だ。カナダ政府は畜肉、鶏肉の生産者と同様、その重複検査を減らしたいと思っているが「まだそこまでいってはいない」とバウワー氏は言う。
「長期的な願望だ。だが、食の安全に悪い影響を与えないことが保証されない限り、検査の削減に着手することはない」とバウワー氏は述べた。
 カナダ側の生産者は、国境での二次検査撤廃計画が業界に対するイメージ悪化を招いたことを承知している。
「論理が勝つことを願っている」とカナダ食肉協会の事務局長ジェームズ・ローズは言う。
 エクセル社の牛肉汚染について「食の安全に関わる事件はなくならないだろう。もちろん我々は、長期的には少しでも少なくしていくつもりだが…」とローズ氏は述べた。
「今回の回収は非常に深刻だ。だが、同時にこれは、もし何らかの理由で検査を通ってしまっても、回収という最終手段があることを示してもいる。我々は、知らないふりをしているわけではない」と彼は言う。

 一方、カナダ食品加工業者団体の理事長クリス・カイトは、エクセル社の「大惨事」は米国政府に国境措置撤廃計画から手を引く口実を与えたと思うと語った。
「アメリカはアメリカへの輸入促進には関心がないし、エクセル社の事件で変わったとも思わない」とカイト氏は言う。「(カナダから)輸出される製品を締め出したい人が、それを口実に使うのではないか?」
 しかし、カナダ・アメリカビジネス協会を代表して話をするキャンベルスープの副社長ケリー・ジョンストンは、11月以後のホワイトハウスの住人が誰になるにしろ、国境措置の撤廃計画は推し進められるだろうという強い自信がある、と語った。
「私は、アメリカ人がカナダの畜肉、鶏肉の安全性云々にそれほど高い関心を払っているとは思えない」とジョンストン氏はEメールでハフポストに述べた。「目標は…一度の検査で十分だといえるような信頼を得ることである。私は、いずれその目標に到達するだろうと確信している。」
 米国のFSIS(食品安全検査局)の広報担当ダーク・フィルポットは、USDA(米国農務省)がエクセル社の事件を受け、国境での二次検査の撤廃に懸念があるかどうかについて語ろうとはしなかった。フィルポットは、カナダが米国と同等の検査体制を持つこと、また米国に輸入されるすべての畜肉、鶏肉、卵の加工製品はその基準に適合しなければならないことをFSISが決定したと述べた。
「はっきり言っておくが、我々は、検査工程における我々の役割とアメリカの国民を守る義務を放棄しているわけではない」と彼はその声明のなかで述べている。(翻訳:戸田光子 監修:廣内かおり)

■元記事へのリンク(動画あり 2012年10月11日5:03a.m.EDT投稿 2012年10月11日11:38a.m.更新)
http://www.huffingtonpost.ca/2012/10/11/beyond-the-border-xl-foods-beef-recall_n_1956100.html

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