「TPPに反対する人々の運動」

アクセスカウンタ

zoom RSS 【海外情報】環太平洋の連携とアジア太平洋諸国の統合・定量的評価

<<   作成日時 : 2012/05/05 09:01   >>

トラックバック 0 / コメント 0

環太平洋の連携とアジア太平洋諸国の統合:その定量的評価
The Trans-Pacific Partnership and Asia-Pacific Integration: A Quantitative Assessment


【要旨】
 アジア太平洋地域の貿易協定については2つの道筋が生まれている。一つは既に提案され交渉の進んでいるTPPでありもう一つは(中国を軸とする)アジア地域における回路である。これらは複雑に絡んだスパゲティ状態にある既存の様々な小規模の協定を統合し、FTAAP(アジア太平洋自由貿易地域)への道につなげうるものである。
我々は、2010〜2025年の射程でこれらの道筋から得られる利益と戦略的動機を検証するものである。世界経済に与える効果は当初は小さなものであるが、2025年までに得られる福利はTPPで年間1040億ドル、アジアでの道筋を含めると年間3030億ドル、そしてFTAAPを含めると年間8620億ドルに増加するだろう。
 2つの道筋は互いに競争するものであるが、双方が戦略的に包含するものは建設的なものである。それぞれが拡大する動機を含んでおり、何年かすれば、米国、中国双方において、2つの回路を統合して真のアジア地域の協定にしようとする強い経済的な動機が生まれるだろう。それぞれの回路はその統合に対し異なるひな型を持ち込み、アジア太平洋地域での交渉における“相違点”を明確にすると見られる。
 この研究は48もの既存のあるいは提案段階にあるアジア太平洋地域の通商協定の分析基にしたものであり、地域内貿易額、生産高、雇用者数、雇用構造の変化などを含む様々な変動要素への影響をモデル化したものである。(翻訳:近藤康男)

【序論】(翻訳:田所 剛)
 ウルグアイラウンドの交渉締結以降、国際間の貿易ルールは世界規模なものから地域的そして2国間の条約に移行してきた。米国はこの変化には積極的に関与をしてこなかったのだが、現在交渉中のTPPはNAFTA以降初めての重要な地域協定となり得るものである。
 また、TPPはアジア太平洋地域におけるより大きな自由貿易協定(FTAAP)に道を開く可能性を有している。この論文はTPPによる潜在的な効果と対価、そしてアジア太平洋地域における経済統合の戦略的影響について検証したものである。

 近年米国が支援したいくつかの地域戦略は特段の成功をおさめなかった。アジア太平洋経済協力(APEC)の場を地域連携の場とする試みは、1998年の「速やかな自主的地域自由化」構想の失敗という結果に終わった。米国が提案した北米大陸全体の自由貿易圏構想も充分な支持を得ることが出来なかった。またAPEC参加の指導者達に支持されたにも関わらず、FTAAPは今のところ大きな盛り上がりを見せていない。これらの試みにおいて、米国の市場確保の期待は様々に異なる相手国の持つ重要関心事項及び自国内政治との衝突を引き起こした。
 米国の貿易相手国の多くは既に米国市場への販路をある程度確保しており、米国の厳しい要求に応えようとする動機は限定的なものでしかなかった。
 2007年に米国での「ファストトラック」(政府提案の関係法案を一括審査して賛否を問う仕組み)が満了したことにより、将来における貿易協定の締結はより複雑なものになろうとしている。 このような厳しい背景を抱えつつも、米国はTPPを最先端の「21世紀の協定」(米国通商代表部2011年)とすべく8ヶ国と交渉を進めている。

 その構想は貿易分野について現時点では比較的小規模な範囲ではあるものの、対象とする課題や先進国から新興国、低所得国まで加盟国として取り込むという点で野心的ものである。また、国際的な貿易の枠組みにとって重要な意味を持つ、アジア太平洋全域の協定の核を作ることを目指している。
 TPPの交渉は参加各国が同じような考えを持つ開放経済の国々であることから、これまで米国が関与してきた地域協定よりも成功しそうな状況にある。また、貿易のための施策は通常超党派の支援を受け、協定は米国にとって有益なものと見なされ、現在の政治的な対立にも関わらず米国議会からの承認を得られることになると思われる。
しかしながら経済成長が緩やかであるという見地から、必ずしも容易に承認される訳ではない。国際的に見て米国市場は重要ではあるものの、急速に成長しつつある他の国々と比べ重要度が減少しつつあり、そして国内的には貿易政策に対しては様々な議論があるのである。従って、将来の協定に続く野心的な道筋を分析するために福利と貿易の効果に焦点を当てているが、そのいくつかは現実的とは言えないないかもしれない。
しかし、間違いなくTPPは重要な構想であり注意深い分析が必要である。

 TPPの評価を行うにあたっては、協定に見られる通常とは異なる3つの特徴を考慮する必要がある。第1に、交渉はアジアにおける他の貿易構想の流れの中から出て来ているという点である。従って、今後15年に渡り進化し、そして多分収斂する2つの並行する流れ、即ち「環太平洋の流れ」と「アジアの流れ」の相互作用を分析する必要がある。第2に、TPPによる恩恵は、即座に得られる貿易上の利益よりも、アジア太平洋の将来の貿易システムに対する影響の度合い、つまり実行可能で高品質な地域の統合のひな型の発展に多く依存するという点である。従って、我々はこの協定がその拡大の動機づけと将来の交渉に使われるひな型にどのように影響するのかを理解する必要がある。第3に、TPPは、それぞれの課題に取り組むための研究が必要な、比較的新しい課題を含んでいるという点である。
 端的に言えば、我々の結論として、この二つの道筋はアジア太平洋の統合に向け実現可能であり、多くの部分で相互補完的である示唆するものである。

 いずれの道筋も実質的な効果を生み出し、其々が成長しさらに互いの進歩を刺激しあうことになるだろう。其々の道筋は互いに競い合い(主として導入されるひな型において)、一方で地域の協定への統合の動機づけを生み出すだろう。これは地域、そして世界的にも特別に魅力的な点であり、あのドーハラウンドが成功していたならば得られたはずのものに比較されるものとなり得るだろう。

第2章ではTPPの起源と米国や他の経済圏の目的を再検討する。
第3章では協定の条文案を分析する。
第4章ではモデル、データ、分析手法について記述する。
第5章では福利と貿易のもたらす結果の検証を行う。
第6章では何故加盟各国が当初の枠組みとその拡大について合意するのかについて戦略的ゲーム理論の観点から検討を行う。
第7章では鍵となる交渉参加の経済圏の役割分析を行いながら、米国から見た協定交渉の結果を概観する。
第8章では重要関心事項に関わる結果を示し、第9章でこの論考の結論を示す。感応性の結果を提供します。

出典:東西センター(11年10月Peter A. Petri氏、Michael G. Plummer氏執筆のWorking Papersから

※先に掲載したUSTR歴代代表の観点に続き、米国における推進の立場からの論考紹介。以下の翻訳は、米国の研究機関である「東西センタ−」が昨年出した論考の「要旨」と「序論」。東西センターは1960年米国議会により設立された非営利の組織で、民間外交、ネットワ−ク作り、調査・研究活動に取り組んでいる。

以下のファイルは本論考の全文を参照(PDFファイル)
TPP and Asia-Pacific Integration-A Quantitative Assessment.pdf

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

【海外情報】環太平洋の連携とアジア太平洋諸国の統合・定量的評価 「TPPに反対する人々の運動」/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる