「TPPに反対する人々の運動」

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zoom RSS 「反APEC・反TPP」デモ報告(APEC報告集5)

<<   作成日時 : 2012/01/04 09:05   >>

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 APECが開催された11月7日~13日、ホノルルは海外からの観光客は通常の5分の1程度に落ち込んだという。その代わりに、各国の閣僚や会議関係者、メディアが数万人単位で押し寄せた。そして、私たちのような市民派遣団を含む、各国からの「反APEC・反TPP」を訴える市民、労働組合、NGO、農民・漁民団体もハワイに集まった。
 APECの対抗会議として開かれたモアナ・ヌイ会議では、2日間にわたり充実した議論と交流が行なわれた。ハワイの先住民マオリやグアムや沖縄など「基地ある島」からの参加者、そしてニュージーランドや米国からは反グローバリズムの論客も参加した。

 モアナ・ヌイ会議が終了した翌日、11月12日(土)は、ちょうどAPEC首脳会議の日だ。この日をめざし、ホノルルの公園にはモアナ・ヌイ会議の参加者はもちろん、多くの市民が集まり、反APECデモが開催された。広々とした公園には仮設テントが立てられ、デモ用のバナーやTシャツへのペイントなどができるスペースがつくられた。私たち日本からの市民派遣団も、「TPP反対!」と書いたプラカードやはちまきを準備し、このデモに参加した。

 出発前から、公園には続々と人が集まり、ドラムを叩いたりスローガンをラップ調で語ったりと、にぎやかな空間が広がった。日本のデモでも最近は見られるようになったが、音楽やダンスを取り入れた、おしゃれでかっこいいデモのスタイルに共感!このデモは世界中からホノルルに訪れたマスメディアの記者にとっても、市民側の動きを取材する絶好の機会となったため、公園には取材陣も多く集まった。日本からも大手メディアが来ており、「日本から、しかも北海道や新潟の農民がTPP反対を訴えている」と知ると、私たちグループに取材が殺到。取材を受けたメンバーは、「TPPでは農民だけでなく、多くの人たちの生活が壊される」「農民の声を聞いてほしい」等のコメントをした。

 ハワイという地は、ご存じのとおり「観光」と「基地」が産業の基本となっている。その意味では、これら経済に従属して生きざるを得ない人びとが多く、相対的にではあるが、大きな社会運動や反グローバリズム運動が根付きにくいと地元の人たちはいう。しかし、よく目をこらしてみれば、ハワイには実に多様な運動が存在する。反基地運動、労働運動、先住民の文化や伝統に根ざした農業を取り戻す運動、そしてTPPに代表される大企業優先のグローバリズムに対する異議申し立ての運動…という具合にである。しかも、私が最も楽しみにしていた出会いは、9月からニューヨークで始まったOCCUPYウォール街運動と連動した「OCCUPY ホノルル」というグループだった。この運動はニューヨークでの占拠が始まった後の10月以降、ホノルルの公園や路上で、「私たちは99%」「金持ちに課税を!」などのアピールを何度も繰り返してきたという。またハワイ大学でも、当初は「APEC歓迎!」一色で、学内には「Welcome APEC」という横断幕が掲げられていたというが、OCCUPY運動を進める学生たちの働きかけによってその幕は降ろされることになったという。APEC直前には、学生たちは学内で「NO APEC!」「We are 99%」等のアピールを行なっていた。

 反APECデモでは、こうした地元の運動が基盤となり「反APEC/OCCUPYホノルル」を合言葉にした数千人のデモ集団がつくられた。デモのルートは、公園から海外沿いにある高級リゾートホテル街のある地域までの約2キロ。残念ながら人通りはあまり多くなく、一般の人たちへのアピールは弱かったのだが、みなそんなことに滅入るような人たちではない。楽しく、激しく、それぞれのアピールを続けた。
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 最終地点では、小さな公園に集まり集会が開かれた。モアナ・ヌイ会議のメンバーたちによる「Moana Nui Statement」(※)が読み上げられると、その場にいた全員が大きな賛同の声を挙げた。モアナ・ヌイ会議の最中もそうだが、ハワイの反グローバリズム運動の基礎には、長年のあいだ周辺化されてきた先住民の人びとの怒りと、未来を展望する力がある、と強く感じた。デモの最中、マオリの女性たちが、自分たちのことばで「大企業だけが儲ける世界はたくさんだ!」「私たちは豊かな自然とともに生きる!それが私たちの権利だ!」ということを訴えていたのが印象的だった。

 決して何万人もが集まるような大きなデモではないが、手づくりの温かさや参加者同士のつながりが実感できる素敵なデモだった。デモの様子は今でもYOU TUBEなどで見ることができるので、ぜひ皆さんにも現場での熱気を感じていただきたい。

 日本のTPP参加表明については、訪ハワイ直前に野田首相が煮え切らない「参加検討」宣言は、事実上の「参加表明」となってしまった。これから関係国との調整・交渉に入ることになるが、これまで以上の監視と批判・提言が運動側にも求められている。APEC直前には、これまでの市民運動の枠組みだけでなく、環境や食の安全、農業などに関心を持つ若者層もTPPに危機感を感じ、運動に参加をしてきた流れがある。「人間らしく当たり前に生きる」ことを阻むという意味では、反原発運動とも一緒に、反TPPを進めていくことが必要だ。

 最後に、日本はなかなかないアクティヴィズム・シーンの一端をホノルルで見た。APEC首脳会議の際の公式晩さん会に招待された地元の若いミュージシャン・Makana。晩餐会の冒頭、首脳たちの目の前で、彼は着ていたジャケットを脱いだ。そこにあらわれたTシャツに書かれた文字は、「OCCUPY with ALOHA!(アロハで占拠!)」。そして彼は自作の歌「私たちは99%」を演奏し始めた。首脳たちの多くは意味不明、といった様子だったそうだが、彼の行動は話題となりCNNも取り上げるなど一躍有名人となった。こうしたゲリラ的(?)でCOOLなアクションが日本でももっともっと起こればいいのに、と思うのであった。

※「Moana Nui Statement」 全文
「ふるさとである大海原の潮の流れでつながった私たち、“Moana Nui”の人々は、APECに象徴される、貪欲な資本主義的やり方でいのちと大地を商品化すること、歪められた情報と秘密裏の貿易交渉による協定には、一切手を貸すことはしないことを宣言するものである。
 私たちは、自由な形で、事前に情報を提供され、その上で合意を形成することを切望する。そして私たちは、伝統的な方法と知恵に根ざした、相互協力を求める環太平洋における対話、行動、提言、太平洋地域の人々の連帯の道こそを選択するものである。」(翻訳=近藤康男)

【動画情報】
☆OCCUPY ホノルル
http://vimeo.com/32299565
☆OCCUPY with ALOHA
http://vimeo.com/32213279
☆反APECデモ
http://www.youtube.com/watch?v=56hslO2jREI&feature=related

アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長
内田聖子

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