「TPPに反対する人々の運動」

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zoom RSS グロ−バルな視座での反TPPを!(モアナ・ヌイ会議参加報告・APEC報告集3)

<<   作成日時 : 2012/01/02 10:12   >>

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 2011年11月10日(木)〜14日(月)、3泊5日の日程でハワイでのAPEC首脳会議に併せて行われたモアナ・ヌイ会議とデモに参加する機会があった。私も参加している「TPPに反対する人々の運動」の仲間6名、北海道農民連盟関係者6名、新潟の全日農関係者1名の計13名、はからずも海外参加者では一番の大部隊だった。今後の各国の反対運動との連帯、発信力の弱い日本の反対運動のアピ−ルを意識しての参加でもあり、日本の大震災・反TPPを訴える“JAPAN SESSION”も独自に開催した。私自身は全体会のパネリストとしてプレゼンテ−ションをする機会があったので、その報告を中心に報告をしたい。

<太平洋諸島先住民をあらためて感じたモアナ・ヌイ会議>
 12日のデモを別にして、この集まり自体は9〜11日の3日間行われた。9日は現地事務局、先住民組織が集まり声明文の作成に取り掛かるための準備会合。我々が参加したのは10日、11日の全体会で、パネリストによるプレゼンテ−ション、会場との質疑応答・意見交換中心に朝から夜まで続けられた。主催は、グロ−バリゼ−ションに関する国際フォーラム「The International Forum on Globalization(IFG:1994年設立サンフランシスコ)」と現地の「PUA MOHALA I KA PO, HAWAI’I」。
 必ずしもハワイ全体の雰囲気を代表するものではないかも知れないものの、太平洋の島々の存在、そこには近代国家に無理やり統合された先住民の人々・文化・伝統があることを強く感じさせられたことは新鮮なショックでもあった。先住民の目立つ全体会参加者、氾濫する先住民言語。テ−マにも、弱者としての大海原太平洋と島々が受けるグロ−バリゼ−ションの影響に関するものが多く含まれ、そして2日目の会場がハワイ大学のハワイ学についての学部であったことも象徴的だった。考えてみれば大航海時代は勿論、植民地化、太平洋戦争と日本の軍政、水爆実験、軍事基地の展開、温暖化と海水上昇による国土の危機等々、太平洋は負の歴史を背負わされた地域であることに気づかされる思いだった。

<グロ−バルで包括的な視座でTPPを捉える>
 2日間の議論はフィリピンのウォールデン・ベロー氏による基調提言から始まり、連続して5つのパネルディスカッションが続けられた。テ−マは…

1:先住民の権利・経済・統治―グロ―バルパワ−に抵抗する戦い
2:太平洋における軍事化の進行と抵抗の戦い(日・韓・インド洋を含む)
3:グロ−バリゼ−ション、開発、そして地政学的枠組み
4:太平洋地域の資源、土地、経済
5:APEC、TPP、我々は何を見極め、何をすべきか(総括的パネル)

 相当に包括的で幅広いテ−マだった。パネリストは31名、米国と太平洋諸島以外からはフィリピン、イ−スタ−島(チリ)、韓国、日本、オ−ストラリア、中国、ロシア、ニュ−ジ−ランド、ペル−の13人、それぞれテ−マに沿って5つのパネルで発言と会場との応答がされた。日本からは沖縄の「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代氏(第2パネル)、芸術家・平和活動家でハワイ在住の小田さん(第2パネル)、環境・平和・健康をテ−マとする活動家のきくちゆみ氏の3人の女性と「TPPに反対する人々の運動」の近藤(パネル5)の4人が発言者として参加した。
 多少直線的なアメリカ批判に偏していた感はあるものの、経済・軍事・政治・人権・歴史などを包含する幅広いテ−マの中に今日的課題としてのTPPを位置づける発言が全体を通して見られた2日間だった。 
 私の参加したパネルの発言者は、他に共催団体IFGのビクター・メノッティ氏、米国Public Citizen(NGO)のロリ・ワロック氏、ニュ−ジ−ランドのオ−クランド大ジェーン・ケルシー氏、フィリピンの議員でFocus on Global South(NGO)のウォールデン・ベロー氏、アメリカを糾弾しつつTPPの今日的な危険性を強調するものだった。(※名前をクリックすると当日の映像リンクが開きます)

 曰く「民衆の資源、命に関わる価値としての農水産業が危険にさらされている」(ビクター・メノッティ氏)、
「TPPは米国議会の承認抜きにあり得ない」「APECの枠組みに広げるステップだ」「NAFTAで得られなかったものの総仕上げ」(ジェーン・ケルシー氏)、
「貿易問題と言っているが、電話帳ほどの厚さの中身の大半は貿易についてではない」「GATTと違って、決められようとしているのは、System of Corporate Global Governanceだ」「TPPは血を吸い尽くすドラキュラだ。明るみに引き出し(情報開示・透明性を要求)、殺してしまおう。Kill TPP」「TPPはコスト削減、賃金引き下げへの道。NAFTAでは我々の税金を使って結局は500万人の失業と42,000 件の製造業倒産。メキシコでも同様」(ロリ・ワロック氏)
といったものがあげらた。
 そして、最後の発言者のベロー氏の「全ての危機は我々のチャンスであり、オルタ−ナティブな原理が求められている」という巧みな結びで一連の発言が終わった。彼の「(グロ−バリゼ−ションの論理を振りかざしつつも多極化・統合崩壊直前の根源的危機、という意味合いと思われる)Deglobalization、Disintegration」という逆説的な言葉が印象的だった。

<グロ−バルな視座で反TPPの戦いを>
 日本においてもこれまでになく幅広い運動が取り組まれている。それは主要には命に関わるものとしての、農水産業・医療・食の安全を危うくするもの、否定されてはならない人々の主権や民主主義を否定し、企業論理を徹底するものとしてのTPPに反対する運動でもある。
 私たちは既にグロ−バルな相互依存の世界にいる。特にアジアでの大きな存在である日本が参加することは、参加国以外も含めた弱い立場の国・地域・人々に対して、例えば食料問題の深刻化、小規模企業へのしわ寄せなどをもたらすことになるはずだ。そしてTPPは、他のFTA・EPA同様、協定という耳障りの良い言葉で、競争と効率化を美化しながら強者の論理を主張し、弱者がいやいや妥協をするという関係で成立するものだ。
 その意味で反TPPは、日本の参加の有無にかかわらず各国の運動との連帯抜きにはあり得ない運動であり、反グロ−バリズムの運動だ。
 11月のAPECから始まり東アジア首脳会議で終わった一連の流れは、ASEANを一つの軸として経済・外交・安保において米中が鍔迫り合いをし、それをEU、ロシア、インドなどが注視するアジアの時代へと導くものだった。そして日本は、ASEAN+6の本格化を前に、米国に必要とされる形でTPPに参加し、強者・弱者に対する加害者・持てる者としての関与を強めようとしている。
 生活に広く深く覆いかぶさるTPP、スロ−ガンで討死する訳にはいかない。交渉がより本格化する中、これまでの運動を、一層幅広い人たちとの共同の運動にすると共に、グロ−バルな戦いにすること、具体的で強固な論を作ることを訴える。

近藤康男(アジア農民交流センター

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